紀要論文 今なぜ国立移民博物館なのか ― イタリアのナショナル・アイデンティティの現在
The Actualitiy of Museo Nazionale Emigrazione Italiana and Italian National Identity

秦泉寺, 友紀

56pp.29 - 39 , 2016-03-31 , 和洋女子大学
ISSN:18846351
NII書誌ID(NCID):AA12466848
内容記述
 本稿は、イタリア統一150周年記念事業の一環として設立された「国立移民博物館」を手がかりとして、イタリアのナショナル・アイデンティティの現状について検討する。この博物館はイタリアの過去の送り出し移民の本国および移民先の社会への貢献を評価し、その規模の大きさにもかかわらず学校の教科書でもほとんど扱われてこなかった彼らを想起し、イタリア史のなかに位置づけ直すことを企図した施設である。他方、1990年代以降、急速に移民受け入れ国へと姿を変えた現在のイタリアでは、移民排斥的な主張を掲げる政党への支持も一定の広がりをもつ。こうした背景のもと、国立移民博物館には、イタリアがかつて移民の送り出し国であった過去やイタリア移民の労苦を想起し、それを踏まえて今イタリアに外国から到来する移民に向き合うよう方向づける役割も期待されている。しかしこの博物館にみられる移民のルーツに重きをおく態度は、新たにイタリアに定住する外国からの移民を「イタリア人」の枠の外に位置づけるそれと地続きの部分もないわけではない。こうした両義的な移民博物館のあり方は、移民受け入れに揺れる現在のイタリアを象徴している。
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