紀要論文 土倉庄三郎の富国殖林思想 : 明治期の吉野林業をめぐって
Shozaburo Dokura and “Fukoku Shokurin” Thought : the case of Yoshino Forestry in the Meiji Period

並松, 信久

33pp.29 - 59 , 2016-03 , 京都産業大学
ISSN:0287-9719
NII書誌ID(NCID):AN00060189
内容記述
土倉庄三郎(1840–1917、以下は土倉)は明治期に活躍した林業家である。土倉は多くの貢献をしている。先行研究によれば、それは主に3 点である。(1)吉野林業に対する貢献、(2)地元をはじめとして広く社会や地域に対する貢献、(3)林学や林業政策に対する貢献であった。しかしこれらの貢献が、どのような思想に基づいていたのかは、未だ明らかではない。本稿は 土倉の事績を追って、その思想の形成過程を明らかにした。土倉は吉野林業経営の実践から、環境保全と産業開発を両立する思想を形成した。土倉の思想は、土地などの自然環境利用の「持続性」、商品経済に対応できる「効率性」、長期にわたる「計画性」、地域振興を目的とした「財源の確保」などに特徴があった。 土倉は吉野林業の「植林」を「殖林」と言い換え、「富国殖林」は林業を奨励することによって家を富ませ、村民の幸福を招き、国力を充実させ、平和をもたらすことであるとした。土倉の場合、富国の対象となるのは国家ではなく、地元であり地域であった。さらに土倉は富国殖林思想をもつ人材育成の重要性を訴えた。この人材は、状況に応じて柔軟に対応し、創造できる人材のことであり、マニュアル化や標準化によって育成できるものではないと訴えた。
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http://ksurep.kyoto-su.ac.jp/dspace/bitstream/10965/1310/1/AHSUSK_SSS_33_29.pdf

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