Departmental Bulletin Paper 子どもの哲学(p4c)ハワイスタイルの精神療法的効果:対話による探究のコミュニティの現象学的省察

田端, 健人

Description
 本稿の目的は、対話による授業方法の一つ「子どもの哲学(p4c)ハワイスタイル」の実践でときに見られる「精神療法的」効果を、現象学的アプローチによって哲学的に省察することである。まず、「子どもの哲学」がどのような取り組みであるか、またそのハワイスタイルとみやぎのスタイルがどのようなものであるかを概観する。次に、子どもの哲学のこれらのスタイルでの実践にときにみられる固有の現象を、「精神療法的」と形容することがどこまで妥当性をもつかを、辞書的な意味や医療的な用法を手がかりとして明確化する。最後に、この現象において子どもや学生、またそのコミュニティに何が起きているのか、また何故これらのスタイルでの対話においてこうした現象がときに生じるかを、ホイジンガの遊び論、ボルノウの気分論、ハイデガーの傾聴と共同体の存在論を導きとして現象学的に記述し、この現象の理解を深めてゆく。考察の結果、広い意味での精神療法的現象では、通常の語られた内容を理解する聞き方とは質的に異なる聞き方、語られた内容を超えた向こうの存在へと参与する聞き方が生じており、こうした傾聴において、相手を尊重すると同時に相手と対等になるという豊かな人間関係が生じること、また犠牲が語られる場合にはことさら、犠牲の近さによって、コミュニティーの成員が個別化されると同時に結びつけられるという深い人間関係が形成されることを指摘する。
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