Departmental Bulletin Paper 芥川龍之介「往生絵巻」論 : <死後に咲く華>をめぐって

三谷, 憲正

25pp.145 - 160 , 2017-11-25 , 佛教大学国語国文学会
ISSN:13424254
NCID:AN10591104
Description
「往生絵巻」(大正10年)は、讃岐国の多度郡にいた「五位の入道」という人物が浄土をめざして西へ西へと歩き続け、最後は枯れ木の上で海を臨みながら、飢え死にする話である(『今昔物語集』に依拠)。ここで興味深いのは、死骸の口中に華が咲く点において、「往生絵巻」(白蓮華)と「じゆりあの・吉助」(白百合)とは同巧の終わり方をしていることである。これまで「じゆりあの・吉助」はアナトール・フランスの「聖母の軽業師」が典拠ではないかと指摘されてきた。が、「聖母の軽業師」および『今昔物語』は、姿を変えながらともに「きりしとほろ上人伝」(大8)・「じゆりあの・吉助」(大8)・「沼」(大9)・「往生絵巻」(大10)といった作品に影響を及ぼしているようである。こうした側面は「王朝物」であろうと「きりしたん物」であっても、主人公たちに쐕救済쐖が訪れた可能性を示しているように思われる。宗教が人知を超えたこの世ならざるものへの希求だとすれば、正に芥川の文学は宗教文学の側面を持っていると言ってよいのではなかろうか。
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https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KG/0025/KG00250R145.pdf

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