紀要論文 相関と因果(3)汚染と浄化をめぐって
Correlation versus Causality (Part III) On the Pollution and Purification of Medicine

村岡, 潔

11pp.51 - 63 , 2017-03-01 , 佛教大学保健医療技術学部
ISSN:18813259
NII書誌ID(NCID):AA12202562
内容記述
本稿は,医学の分野でよく用いられる「相関」と「因果」の観方について医学哲学の立場からの試論のシリーズ第3稿である.今回は,現代医学の伝統的だが主流のパラダイムである特定病因論specific etiologyの通俗的理解の問題について考察する.因果関係ではなく相関に基づいた,その観念ideaは,人々の通俗的な観方の形成や行動に深く影響を与えていると思われる.そうした言説では,汚染というキーワードが魔力となって働き,その事態の浄化を促す文化社会的な作用をもたらすものと考えられる. 第1節では,感染症,特にハンセン病を例に,伝染病という汚染が持つ,人々を呪縛する魔力について述べた.第2節では,コッホらの細菌学にもとづいた近代医学の中心的原理である特定病因論の隘路について言及した.そして,特定病因論がもつ神学的構造についても指摘した.第3節では,歴史的な伝染病をとり上げ,感染者や発病者を担体として排除してしまう社会防衛論のメカニズムについて議論した.第4節では,感染―発病―死亡の確率系について思考実験を行ない,感染症は,要注意であるが必ずしも集団の全滅を引き起こすわけではないことを確認した.「おわりに」では,生態系として人体に様々な病原体が住み着いていることを理解するとともに,抗菌グッズは,文化社会的な「きれい/汚い」空間と医学的な「清潔/不潔」空間を消費者に混同させることで成立していることを指摘した.
相関と因果
汚染と浄化
流行病
生態系
抗菌グッズ
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http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/HO/0011/HO00110L051.pdf

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