紀要論文 相関の因果(2)遺伝学と優生学をめぐって
Correlation versus Causality (Part II) On a Revisionism of Genetics and Eugenics

村岡, 潔

10pp.13 - 24 , 2016-03-01 , 佛教大学保健医療技術学部
ISSN:18813259
NII書誌ID(NCID):AA12202562
内容記述
本稿は,医学・医療の分野でよく用いられる「相関」と「因果」の観方について医学概論・医学哲学の立場から考察する試論のシリーズ第2稿である.今回は,遺伝学と優生学の歴史的経過について新旧の遺伝学と優生学の立ち位置を,遺伝学における表現型と遺伝子型との対比によって検討し,生物学的並びに文化社会的視点から考察した. 第1節では,遺伝子DNAの発見以前の「旧遺伝学」の諸相について歴史的に振り返った.そして表現型を中心として遺伝学やそこから派生した優生学について記述した.第2節では,DNAの二重らせんモデル以降の「新遺伝学」を中心に,バイオテクノロジーの発展とそれがもたらした難アポリア問について指摘した.特にこれまで不可視であった遺伝子型の可視化を通じて,遺伝子型に基づいて生物学的現象である表現型を解釈しなおすまなざしが誕生したことを述べた.また遺伝子検査がもたらす光と陰についても言及した.第3節では,近年脚光を浴びつつある「先制医療」と新遺伝学の関係について検討した.発症前診断(遺伝子診断)による遺伝情報からその時点での健常者を「未病」とラベルすることは遺伝子による文化社会的差別をもたらす危険性があることを指摘した.第4節「おわりに」では,遺伝子DNAや遺伝子型による説明体系が普及することで医療化にも似た「遺伝子化」の傾向があることを指摘した.また,遺伝学と優生学が因果関係で単線化することで,決定論的な優生学的思考や差別は,常に変奏しつつ修正主義的に表出する可能性があることを示唆した.
相関と因果
遺伝学
優生学
「先制医療」
遺伝子化
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http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/HO/0010/HO00100L013.pdf

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