研究報告書 マラウイ農村部におけるインフォーマルな定期積立型 貯蓄・貸付スキームが担う経済的・社会的役割

砂原, 遵平

(Field Report;4) 2017-03-01
内容記述
マラウイでは、商業銀行およびマイクロファイナンス機関による貯蓄、融資サービスとは別に、複数の農民により自発的に結成、組織されるインフォーマルな定期積立型貯蓄・貸付スキーム が全域に渡り浸透している。本論で検討する定期積立型貯蓄・貸付スキームとは、毎週開かれる集会において会員が各々金銭を貯蓄し、その後、必要がある会員に対して、貯蓄で集まった資金を一定の利息付きで融資し、緊急の際には保険金給付の役割も持つ金融ツールのことである。一般的に1年間を1サイクルとし、時期が来るとクラブの貯蓄総額と、融資によって発生した利息収益の合計額が、各会員の貯蓄額の割合に応じて分配される仕組みとなっている。 本論では定期積立型貯蓄・貸付スキームがマラウイで浸透している要因、その実際の運営および維持管理システムを一年間のフィールドワークを元に検討し、以下が明らかとなった。 本スキームが浸透した要因については、現金の盗難防止に有効であること、そもそも農民にとって公的金融機関やマイクロファイナンス機関を利用することが困難であること、また、マラウイ国農業政策の柱であるFarm Input Subsidy Program (FISP )に対する農民の不信が挙げられた。 本スキームの運営に関して、会員である農民が貯蓄を行う主な目的は、メイズトウモロコシ栽培にかかる化学肥料購入資金であることが明らかとなった。融資を実行するにあたり懸念される債務不履行問題は、貯蓄資金を担保にすることで解決されており、農民同士の人的結合から債務不履行は避けようとする農民の心理も浮かび上がった。また、ユニフォームに代表される農民相互の結合意識の強まりが、本スキームへの参加動機となっている一方で、各々の貯蓄総額の差異は、農民がコミュニティー内で抱く優越感や劣等感を生み出し、それらが参加動機や貯蓄心理に影響している点も明らかとなった。
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