紀要論文 症例としての自伝的ナラティブと性的アイデンティティの成立 : クラフ卜=工ビングからJ.A.シモンズへ
An Autobiographical Narrative as a Case History, and the Construction of Sexual Identity : From Krafft-Ebing to J.A. Symonds

宮崎, かすみ

17pp.107 - 127 , 2017-03-11 , 和光大学表現学部
ISSN:13463470
NII書誌ID(NCID):AA11523684
内容記述
本稿は、セクソロジーという学問に特徴的な、患者本人の性的履歴の告白による症例研究という手法を扱う。まずクラフト=エビングが精神医学の一分野として、性病理学、性科学を立ち上げた背景を視野におさめ、そのなかで症例研究が確立されていった経緯をたどる。さらに、症例というナラティブの成立をミシェル・フーコーの権力論に遡って、19 世紀にブームを迎えた近代的自伝文学のなかに位置付ける。自伝はブルジョアジーが生み出したナラティブであるが、リスぺクタビリティを重んじ、性的な慎ましさを尊重したブルジョアがなぜ赤裸々な性的欲望の履歴を語りえたのか。こうした関心からクラフト=エビングの『性的精神病理学』の症例を紹介・分析してゆく。この分析視角をイギリスに引き継ぎ、性科学を孤軍奮闘して追求していたジョン・アディントン・シモンズを取り上げる。従来、ハヴロック・エリスの仕事とされていたイギリス最初の同性愛研究書である『性的倒錯』に所収された症例は、じつはシモンズが収集したものだったことを資料から明らかにし、シモンズ自身が書き残した自らの赤裸々な性的生活の履歴書であるところの自伝を検証し、己の性的欲望の語りのなかで性的アイデンティティが成立していった過程を跡付ける。
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