Departmental Bulletin Paper 「身代わり」の文学 : オスカー・ワイルドから漱石の『心』へ
Vicarious Literature : The Influence of Oscar Wilde on Soseki Natsume's "Kokoro"

宮崎, かすみ

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本稿は、ワイルドと漱石の接点をたどるところから始まり、ワイルドの文学が漱石に及ぼしている影響を考察するものである。二人の邂逅の起点を、漱石がロンドンで最後に下宿した家からほど近いところにあったクラパム・ジャンクション駅に設定した。数年のずれがあるものの、この駅でワイルドは監獄への移送中に群衆の嘲笑を浴びるという屈辱の体験をし、『獄中記』を通してそれを知った漱石は『永日小品』の一篇でこの駅に触れている。漱石はワイルドの同性愛やそれに起因した悲劇について言及していないものの、『心』の根幹をなす思考において、ワイルドの影響を受けていると認められる。本稿では「W・H氏の肖像」、『ドリアン・グレイの画像』との構造および表現における類似性を指摘し考察したのちに、ワイルドの「個人の経験の代わりとしての芸術作品」という表現を、『心』の本質的なメッセージとして引き継いでいるという結論に至った。
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