一般雑誌記事 インターフェロンγ遊離検査で新時代を迎えた結核の院内感染対策

下間, 正隆  ,  小野, 保  ,  近藤, 大志  ,  澤田, 真嗣  ,  清水, 智美  ,  椿森, 裕子  ,  榊原, 玄

内容記述
感染の三要素(感染源,感染経路,感染を受ける人間の存在)のうち,結核の院内感染を防ぐために最も重要な対策は,結核診断の遅れをなくす,遺伝子検査で迅速に結核菌を同定するなど,感染源への対策である.また,外来診療でのトリアージ,N95マスクの適切な使用,陰圧室管理など空気感染対策も重要である.職員が結核患者と接触した場合,接触者検診を実施する.その目的は,職員が万一,結核に感染していた場合に,潜在性結核感染症の段階で早期に発見し確実な治療を行うためである.接触者が多い場合には,接触の程度や接触時間の長さで対象者に優先順位をつけ,陽性者が確認されれば段階的に健診対象者を拡大する.接触者健診にはツベルクリン反応ではなく,インターフェロンγ遊離検査(IGRAを用いる.IGRAは,結核に感染している場合,結核菌特異抗原の刺激によってリンパ球からインターフェロンγが遊離される現象を利用して感染の有無を調べる方法である.全血で調べるQFT-3Gと血液から分離したリンパ球で調べるT-スポットの2種類がある.T-スポットの感度は97.5%,特異度は99.1%と良好である.職員の新規採用時にIGRA をおこない前値(ベースライン値)とする.IGRA 前値が陰性で,8~10週間後の検査結果が陽性の場合,今回の接触による感染の可能性が高いと判断される.IGRAは血液で結核感染の可能性が的確に判定でき有用である.また,労災認定の際の重要な根拠となる.全国の赤十字92病院で2012年から2014年にかけて,接触者健診にIGRAを採用する病院が増えるなど結核の院内感染対策は徐々に整備されているが,今後はさらに赤十字病院全体で統一された均質な感染対策を実践することが重要である.京都第二赤十字病院において,2008 年から2014 年まで7 年間の結核発生届のうち,業務中に結核患者に接触し接触者健診を必要とした32 例に関連して,IGRAを用いて職員の接触者検診を行った.その結果,潜在性結核感染症と診断された職員は16人で,全員が労災認定された.結核の院内感染をなくすためには,診断の遅れをなくすことが最重要である.また,職員には毎年,結核の基本的教育とN95 マスクの訓練を行うことも重要である.
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