Departmental Bulletin Paper 知的障害者への態度に関する研究動向と今後の課題:文献レビュー

米倉, 裕希子

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【研究目的】わが国では,「障害者権利条約」批准に向け,「障害者差別解消法」が成立し,差別是正の取り組みを展開するため,差別に関する議論が活発化することが期待される.障害者に対する差別や偏見について態度研究として発展してきたが,系統だったレビューはない.本論は,知的障害者に焦点を当て国内における態度研究の動向について系統だった手法によるレビューを目的とする.【研究方法】文献はCiNii を用いて障害および態度をキーワードにして得られた2015 年3月までの研究のうち,32 研究である.【研究結果】対象とした研究は,内容別に整理すると,尺度開発に焦点を当てたものが2本,態度に焦点を当てた横断研究が22 本,教育による態度変容に関するものが8本あった.横断研究では,小学生が4本,大学生が15 本,福祉従事者が2本,知的障害者本人への影響が1本だった.態度変容については,小中学生が3本,大学生が5本だった.【考察】尺度は,内的整合性や構成概念妥当性は示されているが,妥当性と信頼性が十分検証された評価尺度が必要である.態度評価は,社会的望ましさに影響されるため,実際の態度を反映しないとの指摘があり,今後は潜在的態度研究の展開が推測される.横断研究では,接触経験が好意的あるいは受容的態度に影響することは明らかだが,接触の質によっては否定的態度に結び付く可能性があり,態度変容には,単なる接触や知識の伝達に加えた工夫が必要である.一方で,態度が知的障害者本人に及ぼす影響や一般市民を対象にした研究は少なく,教育現場だけでなく態度の経年的変化を明らかにしていくことが期待されるだろう.本研究の限界は,データベースが1つであり,キーワードも少ないため,網羅した文献検討とは言えない.今後はデータベースおよびキーワードを増やしさらに知見の集積が望まれる.
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