学位論文 長距離ランナーの下肢の動作および筋活動とランニングエコノミーとの関係

栗田, 崇平  ,  クリタ, シュウヘイ  ,  Kurita, Syuhei

pp.1 - 102 , 2016-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
ランニングエコノミー(Running Economy:RE)は,ある走速度のランニングにおけるエネルギー消費と定義され,長距離ランナーのパフォーマンスと強い関係があることが報告されている(Conley & Krahenbuhl,1980;Weston et al.,2000;Williams & Cavanagh,1987).REに関係する要因について検討したバイオメカニクス的な研究も盛んに行われてはいるが,アスリートのレースペースからかけ離れた低い走速度で得られた変数や,下肢動作のみもしくは下肢筋活動のみから部分的にREとの関係を調査したものが多く,REへの影響を下肢の動作および筋活動の両方から包括的に調査した研究はみられない.そこで,本研究では,走速度の増加に伴う長距離ランナーの下肢の動作および筋活動の変化とREを包括的に解析することにより,長時間走行中の下肢の動作および筋活動がREに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.日常的に長距離走トレーニングを行っている青年男性12名および長距離走トレーニングを行っていない青年男性10名の計22名を被験者とした.被験者にトレッドミル上にて4-6種類の速度で4分間走を行わせ,連続した複数サイクルにおける下肢の動作解析および筋電図学的解析,呼気の生理学的解析を行った.長距離ランナーの下肢の動作および筋活動の特徴について示し,これらがREに及ぼす影響について検討した.本研究の結果から,REへの影響は下肢動作よりも下肢筋活動の方が大きいことが明らかになった.また,REに優れたランナーにおける下肢筋活動の特徴として以下の点が明らかになった.① 制動局面において,二関節に同時に作用する筋の共収縮時間をより長くし,一関節のみに作用する共収縮時間をより短くすることで,効果的かつ経済的に関節を固めている.② 下腿の振出時に拮抗筋である大腿二頭筋をより大きく活動させ,下腿の過度な回転を抑制している.③ 1サイクル時間に対する活動時間の占める割合が長く負担が大きいと考えられる半腱様筋の活動がより短い.④ ヒラメ筋をより短い時間で大きく活動させることで,弾性エネルギーの再利用を促進している可能性がある.以上より,経済的なランナーと非経済的なランナーでは,特に接地前後における筋活動の差が顕著であり,短いヒラメ筋の活動と効果的かつ経済的な共収縮がREに影響することが示唆された.

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