学位論文 信号の狭帯域性とランダムリサンプリングを用いた圧縮センシングによる超分解能到来時間推定法

能戸, 優匠  ,  ノト, マサナリ  ,  Noto, Masanari

pp.1 - 57 , 2016-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
レーダ(RADAR: RAdio Detection And Ranging) は目標物に向けて電波を放ち,目標物からの散乱波を受信するまでの遅延時間から目標の距離を計測するシステムである.マイクロ波を用いた計測は全天候性を有しており,船舶や航空機の検知や測距に用いられているほか,近年ではミリ波を用いた車載レーダが実用化されている.レーダはパルス圧縮技術を用いることで距離分解能を確保しているが,高い距離分解能を得るには送信信号帯域を拡げる必要がある.しかし,送信帯域幅は計測装置や法律上の制限を受けるため,通常の距離分解能を超える超分解能信号処理法が注目されている.超分解能法の一種として,圧縮センシング(CS: Compressed Sensing) に基づく方法が提案されている.圧縮センシングは再現すべき分布の大半がゼロ成分で構成される(スパースである) ことを先験情報に,劣決定の不良設定逆問題を解く手法である.一般的なレーダ計測においては,目標分布は非常に疎に分布しており,上記の先験情報を十分満足する.先行研究では,目標分布のl1 ノルム最小化に基づく最適化問題によって,近接複数目標に対しても高精度な到来時間推定が可能であることが示されている.しかし,上記手法はl1 ノルム最小化に基づくため,信号間の相関性が高い場合,雑音レベルが高い状況等では推定精度が劣化する.また,高精度到来時間推定を実現するためには,極めて密に時間標本を得る必要があるという問題点を有する.本研究では,上記の問題点を解決するため,ランダムリサンプリングと受信信号帯域のスパース性を利用した,圧縮センシングによる超分解能到来時間推定法を新たに提案する.不等間隔に受信信号を間引くランダムリサンプリングを適用し,圧縮センシングの推定精度指標を改善することで,雑音環境下の推定精度を改善する.また,受信信号スペクトルのスパース性を先験情報に導入することで,雑音の高周波成分を抑圧し,雑音環境下の推定精度の向上を行う.また,A/D コンバータでの標本点と真の目標位置との丸め誤差を低減させるため,サンプリングの位相をシフトした複数の受信信号を合成することで同丸め誤差を低減させる手法を提案する.提案法の有効性を数値計算を用いて示す.

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報