学位論文 低符号化率の畳込み符号を用いるヘリコプター衛星通信

高梨, 友李衣  ,  タカナシ, ユリイ  ,  Takanashi, Yurii

pp.1 - 54 , 2016-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
ヘリコプター衛星通信は,ヘリコプターの自由度の高い飛行を活かしながら,信頼度の高く,安定した通信を可能とする通信方式として,救助活動や報道など様々な分野で用いられている.静止衛星間を介してヘリコプターと地上基地局間の通信を行う本方式では,いかなる場所からでも迅速に情報収集が可能となるが,ブレードの回転によりアンテナが遮られ送受信信号が周期的に遮断されるという問題点もある.この周期的遮断の問題に対して,畳込み符号と時間ダイバーシチを用いて遮断の影響を低減する方式が提案された.また,2015年10月には先行研究として,受信機に遮断推定を導入することでBER特性を大幅に改善した新たな方式が発表された.従来方式における受信機では受信信号のダイバーシチ合成法に等利得合成が用いられていたが,一般には等利得合成より最大比合成の方がBER特性は良好とされる.しかし,この最大比合成には通信路環境に伴う重みづけが必要であり,ヘリコプター衛星通信のような低CNR(Carrier-to-Noise power Ratio:搬送波対雑音電力比)環境では受信信号を観測するだけでは通信路における遮断の推定が極めて困難であった.この問題に対し先行研究では,受信機にて擬似BERを計算することで遮断情報の推定を行い,最大比合成を実現した.これにより,BER特性は従来方式から著しく改善された.この従来方式および先行研究では,符号化率1/2の畳込み符号が用いられるが,AWGN通信路では一般的に低符号化率符号の方がBER特性が良好となることが知られている.したがって本研究ではまず,遮断環境下でも低符号化率符号が良好なBER特性を示すかを確認した.その結果,低符号化率の畳込み符号および時間ダイバーシチを適用した方式においては,従来方式と比べ,高Eb/N0環境下にて遮断率8.6%では約0.4dB,遮断率32.1%では約0.2dBの特性改善が確認された.更に本研究では,前述の先行研究についても低符号化率の畳込み符号を適用し,更なるBER特性の改善を図った.また先行研究においては,遮断推定に必要なパラメータである閾値に関する検討がされていなかったが,この閾値がBER特性に影響を与えると考えられるため,閾値に関してBER特性を最小にするという意味で最適な値を検討した.計算機シミュレーションの結果から,先行研究と比べて高Eb/N0環境では遮断率8.6%および32.1%の両条件において約0.6dBのBER特性改善を達成した.また,ヘリコプター衛星通信における理想的なBER特性に更に近づくことも確認できた.

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