学位論文 航空路管制業務におけるチーム協調作業分析に基づく訓練指導用ガイドラインの提案

野崎, 麻見  ,  ノザキ, マミ  ,  Nozaki, Mami

pp.1 - 80 , 2016-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
航空路管制業務は,主に航空路を飛行する航空機に対し,空港等を除く全ての空域を分割したセクターという単位で管制業務を行っている.業務を行う管制卓にはレーダー対空席・調整席と呼ばれる2席があり,航空管制官(以下,管制官)は2人1組で業務につく.レーダー画面を見て現在の交通状況を把握し管制処理を考え実行する対空席の業務に対し,調整席の業務は,レーダー画面に映る前の段階で,運航票の情報をもとに交通状況を予測する.しかし,調整席の訓練では,交通状況の予測方法や処理戦略の立て方,入域予定機の交通流の作り方などに関しては各管制官の状況に応じた判断によらざるを得ないため,明確な指針や要領が定まっておらず,訓練監督者自身の経験から『より良い』と思う方法を訓練生に教えることが多い.訓練生は複数の訓練監督者の下で訓練を積むため,監督者によって伝承内容が異なる場合には,訓練生は理解に時間を費やすことになり,混乱を生じる.本研究ではこの問題を解決するため,調整席の業務のうち管制承認の発出等のようなルーティンワーク以外の,これまでマニュアル化が困難とされてきた交通状況の予測方法や処理戦略の立て方,入域予定機の交通流の作り方などに関するガイドラインを作成し,効率的で体系的な調整席の訓練方法を提案する.ガイドライン作成の手順は以下である.まず,処理戦略の立て方や交通流の作り方に関して典型的かつ重要な要素を多く含んでいると判断した現場観察データを参考にして,調整内容・時期に関するインタビュー調査を複数の管制官に対して実施した.インタビュー調査で得られた調整内容・時期によってパターンに分け,それぞれシナリオを作成した.次に,各シナリオに対し対空席の処理を行い,管制処理プロセス可視化ツールCOMPASiを用いて処理結果の可視化グラフを比較することによって,調整内容・時期の違いが対空席の業務負荷にどのように影響するかを検証した.さらに,調整内容・時期のパターンを対空席の業務負荷低減度順にSTEP分けするとともに,管制処理プロセスの分析から調整業務の考え方のポイントを洗い出した.このように,調整のパターンごとに対空席の業務負荷と管制処理プロセスを比較し,分析した結果をふまえ,ガイドラインを作成した.本ガイドラインは6STEPから構成され,その特徴は,将来的に自セクター内で生じる干渉関係とその変化を,調整席が入域までにどの程度まで的確に,どこまで先を予測できるかを基準に段階を設定していることである.また,提案したガイドラインの妥当性についても評価した.本ガイドラインは,OJT中に訓練生が行った調整に対して訓練監督者が講評をする際に活用することを目的としたものである.

このアイテムのアクセス数:  回

その他の情報