Thesis or Dissertation 駆動電流の影響を受けないSRMのセンサレスロータ位置検出法に関する研究

山本, 健司  ,  ヤマモト, ケンジ  ,  Yamamoto, Kenji

pp.1 - 102 , 2015-09-30 , The University of Electro-Communications
Description
スイッチト・リラクタンス・モータ(Switched reluctance motor,以下SRM)は構造が簡単であり,永久磁石を必要としないので,高速運転や高温環境での運転に適する。このため,空気の対流による放熱作用が期待できない宇宙空間など,高温環境での応用が期待されている。SRMは回転子(ロータ)と固定子(ステータ)の双方に突出した極(突極)を持つ。ステータ側の突極には電流(駆動電流)を流す巻線が設置される。適切な突極巻線に駆動電流を流すことによりロータ突極をステータ突極に引き寄せることでトルクを発生させる。広範な用途に使われているブラシ付DCモータでは,転流はロータに設置された整流子が行う。このため,ブラシ付DCモータでは直流電圧を印加すればモータは回転を続けることができる。しかし,SRMを回転させるためには電子回路を使って転流を行う必要があり,適切なタイミングで転流を行うためにロータ位置を検出する必要がある。転流タイミングを決定するロータ位置検出デバイスの使用温度範囲は現状で150℃程度が限界である。高温環境での動作に適応させるために,ロータ位置検出デバイスを用いずにロータ位置を検出する手法(センサレスロータ位置検出方法)が求められている。センサを省くことができれば,システムのコストダウンにもつながることから,これまでにも多くのセンサレス手法が提案されてきた。しかし,実用的な提案がなされているとは言えない。この主な理由は,観測可能な巻線電圧および電流と,ロータ位置との関係が非線形性を持つため,モータを制御するために必要な計算速度を現状の工業製品で使用可能なリソースで得ることが困難であることである。本論文ではこの問題を解決するために2つの実用的なセンサレスロータ位置検出方法を提案する。1つめは,ロータ位置に依存する突極間の静電容量(突極間静電容量)を計測してロータ位置を推定する手法である。ロータとステータはシャフトとベアリングを介して電気的に互いに接続されているので,ロータ,ステータ突極間の静電容量は,そのままでは測定不可能である。しかし,容量検出用高周波信号を,駆動電流と直交する方向に注入すれば,駆動電圧,電流と非干渉になり,駆動回路の状態に関係なく信号の注入,検出が可能になり,トルク生成のための転流タイミングと無関係に信号電流を印加できるようになる。本論文では,この原理を利用して静電型センサレスロータ位置検出法を提案している。この手法ではトロイダルコアをSRMに組み込む必要があるが,高温に耐えるトロイダルコアは現状では高価であることと,SRMの構造設計変更が必要であるため,設計変更が必要のない2つめの手法として磁気型センサレスロータ位置検出を提案した。この手法では,1つの相(駆動のために同時に励磁される巻線の組)において直列に接続される2つの巻線の接続点(中間タップ)を引き出し,これを駆動回路に接続される端子と共にロータ位置検出用信号注入・検出に用いる。中間タップを用いることにより,ロータ位置検出用信号を同相モード(相のどちらの巻線の磁束もロータ方向に向かう電流方向)で注入することができる。これに対し駆動電圧は2つの相巻線において磁束が同じ方向に発生する差動電流を発生する。巻線の空間的な配置の対称性より,同相電圧は他相に同相電圧となって伝達される。しかし,差動電圧である駆動電圧は同相電圧としては伝達されず,抑圧される。相互インダクタンスはロータ位置に依存するので,1つの相で同相電圧としてロータ位置検出信号を注入し,他の相で同相にて検出された信号の強度を計測すれば,ロータ位置を検出できる。このとき駆動電圧は抑圧されるので,駆動電圧と非干渉でロータ位置検出を行うことができる。提案手法により,ロータ位置センサが不要となり,SRMの使用温度範囲を広げることができ,航空宇宙分野などでのSRMの応用拡大に貢献できる。また,従来の提案手法と比較して複雑な計算や推論を必要としないため,ロータ位置センサを省くことによるコストダウンに加えて,計算用ハードウェアリソースのコストを低減できる。本研究では,シミュレーション実験とSRMモータの実装による実験により,提案手法の有効性を示した。
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