Thesis or Dissertation 圧電インパクト駆動を用いた超精密XYステージと微少液滴塗布機構の開発

入江, 優花  ,  イリエ, ユウカ  ,  Irie, Yuuka

pp.1 - 159 , 2015-09-30 , The University of Electro-Communications
Description
本論文では、圧電インパクト駆動を用いた2つの精密位置決め機構とその応用について論じている。近年、情報端末機器などに搭載されている様々なデバイス、アクチュエータやセンサ、レーザ、レンズ、電子部品、機械部品等は微小化が進み、その位置決めや組立は非常に困難になっている。たとえば、接着作業では、接着される部品同士が微小であり、このように微小部品のハンドリング、位置決めおよび極微小量の接着剤塗布などが重要となる。従来の技術を用いて、これらの問題を解決しようとすれば、いくつかの装置を組み合わせて利用することになり、精度や機械剛性の低下に繋がり、システムの大型化がさけられない。また、部品の位置決め時や接着時の検査・観察系を組み込むことが、物理的スペースから困難となる場合が多い。これらを解決するためには、従来よりも小型・精密な位置決め機構、塗布機構などが必要となっている。本論文では圧電インパクト駆動に着目し、まず圧電素子にのこぎり波形状の駆動電圧を与えた場合の移動体の移動量について運動方程式を用いて解析を行っている。次にこの結果に基づいてV 溝XY ステージを試作している。ここではV 溝XY ステージの位置決め性能を測定し、X、Y ステージ共に、最小位置決め分解能75nm を有することを確認した。このステージを用いた精密応用実験として、レンズ把持部をステージ上に搭載し、超小型レンズの調芯作業が可能であることを明らかにした。次にニードル式液滴塗布機構について検討を行った。まずこの方法の原理と構成について述べ、塗布量を左右するさまざまな条件を実験的に求めている。そしてこの方法を用いた場合、塗布量の精度に影響するするニードル先端の接触計測法について論じている。ニードルを機械共振機構で微小振動させ、先端部の液滴が対象物に接触した瞬間に機械共振点が変化することを利用して、接触検知を行っている。この振動系モデルによる解析とその特性を実験的に明らかにしている。次に圧電インパクト駆動されたニードルを用いて液体を基板へ転写する微小液滴塗布機構について論じている。ここでは駆動波形を先端突起付き矩形波形とし、得られる加速度の差から移動体の締め付け力を決定し、微小液滴塗布機構を試作した。微小液滴塗布機構の塗布性能を評価し、V 溝XYステージ上に配置することで、微小液滴塗布装置を構成した。ニードル直径、液体粘度を変化させて塗布実験を行い、高粘度導電ペースト(50,000mPas)を直径12μm で塗布することに成功した。本論文は5 章で構成する。各章の概要は以下の通りである。第 1 章「緒論」では、デバイスの小型化に伴う超精密組立作業の重要性について概観する。そして本研究の位置づけと目的を明らかにし、本論文の構成および各章の概要について述べる。第2 章「圧電インパクト駆動によるBlu-ray Disc 用ピックアップレンズの調芯機構」では、最初に圧電インパクト駆動による超精密位置決めの動作原理を説明する。圧電素子の駆動電圧波形に、のこぎり波形を用いた場合の駆動周波数と移動体の移動量の関係について示す。この方式をBlu-ray Disc 用ピックアップレンズの調芯機構に適用し、開発した圧電インパクト駆動式V 溝XY ステージについて説明している。V 溝XY ステージの位置決め性能について計測結果を示し、X、Y ステージそれぞれの最小位置決め分解能を明らかにしている。レンズ把持部をV 溝XY ステージ上に搭載し、レンズ調芯用のV 溝XY ステージ機構を構成している。レンズ把持部搭載後のV 溝XY ステージの位置決め性能、把持によるレンズの傾きについて実験評価し、位置決め分解能85nm、レンズ傾斜角度0.01 度以下の良好な結果を得た。レーザ干渉計(青色、波長405nm)を用いて干渉縞を観察しながらXY ステージを駆動させて実際にレンズ調芯を行い、偏芯のない位置決めに成功していることを述べている。第3 章「ニードル式液滴塗布装置とニードル先端接触検知法」では、まずニードル式液滴塗布装置の液滴塗布原理について述べる。塗布液体はピペット内に充填されており、この中をニードルが貫通し、ニードル先端部に付着した液体が塗布基板上へ転写されて塗布が行われる。ここでは液体粘度、ニードル直径、ニードル先端と塗布対象面との間隔などに関して塗布量との関係を実験的に求めている。この際、ニードルが塗布基板に衝突すればニードルおよび塗布基板の損傷となる。ニードル先端部を塗布基板に接触させることなく、塗布を行う必要がある。そこでニードル先端部に付着した液体の塗布基板上への接触検知方法に着目し、オンマシンで接触検知する方法を提案している。ここではニードルを機械共振機構で微小振動させ、先端部の液滴が対象物に接触した瞬間に機械共振点が変化することを利用して、接触検知を行っている。ニードル直径、液体粘度、塗布基板を変化させて、ニードル先端液滴の塗布基板への接触検知実験を行っている。ニードル直径100μmを用いてシリコーンオイル粘度100~100,000mPas の高粘度液体を用いて実験を行い、接触時に共振周波数や振幅の変化から、ニードル先端部の液滴が塗布基板への接触した瞬間の検知に成功している。またニードル振動を用いた塗布により、塗布した液滴の直径ばらつきを低減することができたことを記している。第4 章「圧電インパクト駆動による微小液滴塗布機構」では、微小液滴塗布機構に用いる圧電インパクト駆動の動作原理について述べる。まず圧電素子に印加する駆動電圧波形に着目し、先端突起付き矩形波を提案し、従来ののこぎり波形との特性の相違について比較し、得られる加速度成分について説明している。得られた加速度から移動体の締め付け力を決定し、圧電インパクト駆動式微小液滴塗布機構を試作している。試作機に先端突起付き矩形波を入力し、移動性能評価実験を行い、1μm の位置決め分解能が得られている。さらに圧電インパクト駆動されるV 溝XY ステージと組み合わせて微小液滴塗布装置を構成した。ニードル直径と液体粘度を変化させて、塗布実験を行っている。本試作機を用いて高粘度導電ペースト(50,000mPas)を直径12μmで塗布することに成功しており、このことにより低抵抗パターン等で重要視されている高粘度液体の微小量塗布が実現し、その実用化が期待できる。また圧電インパクト駆動式微小液滴塗布機構は小型であるため、複数台配置することで高効率な塗布が実現できることが期待される。第5 章「結論と今後の課題」では、本章では本論文をまとめるとともに今後の課題について論じる。緒論では本研究の背景や関連研究を概観するとともに従来の精密位置決め機構の問題点を指摘し、可動範囲の増加、操作性向上、装置の小型化の機能が要求されていることを述べている。次に微小量の液摘塗布技術について、超精密位置決め機構と極細ニードルを用いて液滴を転写する方法について説明し、ニードル先端と塗布面との接触検知の重要性を述べて、既存の接触検知手法について紹介している。また、ニードル式液滴塗布機構では、ニードル駆動ストロークの増加、高分解能位置決め、小型化が要求されていることから、ニードル駆動に圧電インパクト駆動方式を適用することでこれらの要求を満たすことができると考えた。圧電インパクト駆動によるBlu-ray Disc 用ピックアップレンズの調芯機構では、最初に圧電インパクト駆動による超精密位置決めの動作原理について説明している。圧電素子の駆動電圧波形に、のこぎり波形を用いた場合の駆動周波数と移動体の移動量の関係について示し、圧電インパクト駆動式V 溝XY ステージを試作した。レンズ把持部をV 溝XY ステージ上に搭載し、レンズ調芯用のV 溝XY ステージ機構を構成した。V 溝XY ステージ機構は、位置決め分解能85nm、レンズ傾斜角度0.01 度以下の良好な結果を得た。レーザ干渉計(青色、波長405nm)を用いて干渉縞を観察しながらXY ステージを駆動させて実際にレンズ調芯を行い、偏芯のない位置決めに成功した。ニードル式液滴塗布装置のニードル先端位置計測では、ニードル式液滴塗布装置の液滴塗布原理について述べ、ニードル先端部に付着した液体の塗布基板上への接触検知方法を提案した。ニードルを機械共振機構で微小振動させ、先端部の液滴が対象物に接触した瞬間に機械共振点が変化することを利用して、接触検知することができた。ニードル直径100μmを用いてシリコーンオイル粘度100~100,000mPas の高粘度液体を用いて実験を行い、接触時に共振周波数や振幅の変化から、ニードル先端部の液滴が塗布基板への接触した瞬間の検知に成功している。またニードル振動を用いた塗布により、塗布した液滴の直径ばらつきを低減することができた。圧電インパクト駆動による微小液滴塗布機構では圧電素子の駆動電圧波形について、のこぎり波と先端突起付き矩形波を加速度に着目して比較考察を述べている。試作した2 つの機構について、位置決め性能を明らかにし、実用性について検討している。応用実験では圧電インパクト駆動方式で極細ニードルを高粘度導電性ペースト(50,000mPas)の充填されたピペット内に貫通させて、極微小量(直径12μm)の液体の塗布に成功した。
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