学位論文 Hasegawa-Wakataniモデルにおける帯状流生成メカニズムについての考察

東仙, 信太郎  ,  トウセン, シンタロウ

pp.1 - 38 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
木星を特徴づけるものに,赤道から南に 22 度の表面に確認できる大赤斑がある.この大赤斑は,巨大な高気圧の渦であり,その周りには帯状の流れが存在している.この現象を説明するために,プラズマ中の静電的抵抗性ドリフト波乱流を記述するモデルである,Hasegawa-Wakatani(HW)モデルを考える.HWモデルを表す方程式はプラズマ中の静電ポテンシャル(φ)と,密度(n)の揺らぎの時間発展を記述する方程式であり,非線形状態で帯状流を自発的に生成することが知られている.HWモデルは密度勾配による不安定性でシアー流を形成する.この時密度と速度の異なる流体の境界面が存在するので,2次的な不安定性が生じて帯状流が形成されると考えることができる.本研究では,HWモデルにおける,非線形シミュレーションによって得られるシアー流と帯状流の周期数と,1次不安定性と2次不安定性の線形解析で得られる周期数の比較を行い,シアー流と帯状流が生成されるメカニズムを探求した.非線形シミュレーションは,既存の2種類(CPUとGPU)のコードを用いて行った.1次不安定性の解析には解析的な表式を用い,2次不安定性の線形解析ではLAPACKを用いた固有値問題コードを開発し,数値計算を行った.まず,1次不安定性の解析では,一様な背景場φ0 = n0 = 0からの微小なずれについて線形化し,解析を行った.1次不安定性の線形解析で求まった成長率の最大値をとる周期数が,非線形シミュレーションで求まったシアー流の周期数と同じ値をとることを確認した.よって,1次不安定性の線形解析によるメカニズムの説明は正しいと言える.2次不安定性の解析では,背景場を1次不安定性の固有モードとし,振幅は固定して2次不安定性によって励起する揺らぎについて線形化を行った.結果としては電気抵抗による散逸が乱流駆動より小さい場合は,線形解析によって求まった成長率の最大値をとる周期数が非線形シミュレーションによって求まった帯状流の周期数とおおよそで一致することを確認したが,その逆の場合では,不一致の部分が多かった.このことは,電気的な要素が強い場面で不一致が目立ったとも言え,3次的な不安定性が新しく起こったか,もしくは2次不安定性でおいた波動解の条件が足りなかったとも推測できる.そして,HWモデルにおける2次不安定性は,シアー流ができた後に起こる不安定性であるが,それに似たものにKelvin-Helmholtz(KH)不安定性がある.KH不安定性にはシアー流の波数ksと,そのあとにできた帯状流の波数kzとの間に0.6ks ? kzという関係がある.2次不安定性の線形解析の結果は乱流駆動と電気抵抗による散逸が小さい場合と等しい場合で,おおよそ0.6ks ? kzを確認することができ,また,ksが変化するパラメータでkzも変化することを確認した.乱流駆動と電気抵抗による散逸が小さい場合,HW方程式が渦度方程式と似た式になるため,KH不安定性のような挙動を示すと考えられる.

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