学位論文 スポラディックEのHFドップラ軌跡に重畳した周期変動発生機構に関する研究

福田, 淳  ,  フクダ, ジュン

pp.1 - 48 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
HFD観測において、高度100km付近に現れるスポラディックE層(Es)の中でも、細長い構造を持ったEs (波面状Es)からの反射波ドップラは右肩下がりの直線を描く。実際のHFDデータを詳細に見ると、直線的なドップラ軌跡に周期変動が重畳していることが分かってきた。しかし、従来の解析ではその詳細、特徴および、その原因が明確となっていなかった。本研究では、多重波面構造を持つEs反射点がその移動方向に沿って移動すると考え、周期変動を統合解析し、周期の一致、移動速度および方向を調べ、その伝搬モデルから周期変動の発生機構解明が目的である。周期変動の重畳は以下の2種類に分類できる。第1は波面状Esが短時間間隔で連続で発生する場合、重畳している周期変動の山を追いかけることにより、ドップラ変動等位相面が右肩上がりの変化(①)が現れる。第2は、波面状Esが連続発生かつ各波面状Esがフレネルゾーンよりも小さい間隔で伝搬している場合で、各波面状Esのドップラ変動がお互いに重なりあってしまい、ドップラ等位相面が見えないが、電界強度の明暗が重なりあうため、強度変動等位相面が右肩上がりの変化(②)が現れる。これらを解析する際、波面状EsのHFD時間変化にはCornelius and Essexの反射点移動モデルが適用可能と分かっているので、①のイベントとして2012年8月16日の観測データより、直線ドップラ軌跡の傾きを除き、周期的変動のみを抽出した。この周期的変動を解析した結果、北西方向へ水平移動速度 54m/sで伝搬している大気音波であることが分かった。この大気音波は熱圏下部高度で反射しながら伝搬していく、すなわち導波管の中を伝搬するようなモデルにより、波面状Esの水平速度に速度変調を掛け、ドップラ軌跡に正弦波的な変動を重畳させていることが分かった。また、②のイベントとして2014年7月11日の観測データより、鉛直成分速度 133 m/s、仰角43°、周期640 sで伝搬している大気重力波から発生した右肩上がりの変化を通るように理想ドップラ軌跡を引き、その軌跡上の電界強度を解析した。この解析結果から大気重力波がEs高度を突き抜けるときに発生する等電子密度面の振動モデルにより、focusingの現象によって電界強度が上がり、右肩上がりのドップラ軌跡が現れることが分かった。以上により、Esに重畳した周期変動は、①が大気音波の導波管伝搬モデルによって、また、②が上方伝搬している大気重力波によって発生した等電子密度面の振動モデルによって説明できることを明らかにした。

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