学位論文 成人女性の加齢にともなう身体能力の変化が歩行動作に及ぼす影響

江藤, 主樹  ,  エトウ, カズキ

pp.1 - 150 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
日本は現在,少子高齢化が進んでいる.健康な老後を送るためには,高齢者個々人が日々QOL(Quality of Life:生活の質)を意識し,維持・向上に努めることが大切である.日常においてQOLを維持する主要な能力の1つとして,ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)を支障なく遂行できることが必要不可欠と考えられる.そのADLの中でも特に,様々な動作の根幹となっている歩行は重大な役割を担っている.しかしながら,歩行を始めとしたADLを支える身体諸機能は加齢にともない低下することが知られている.筋力などの体力要素を維持することは様々な動作を維持する上で重要であり,身体諸機能を歩行動作と関連づけて明らかにすることにより,独立歩行の維持及び改善点のための方策を示すことができると考えられる. 本研究では若年者から高齢者までの広範な年齢層の成人女性に対して,歩行動作計測,体力テスト,下肢筋力測定,下肢関節自動可動域(以下ROM)測定を行い,以下の2点を遂行することを目的とした.①加齢にともなう体力要素,下肢筋力,ROM,歩行動作の変化を明らかにすること②歩行動作と体力諸機能を関連づけて両者の関係性を検証すること 研究対象とした被験者は健康な19歳から82歳までの女性42名であり,年齢により3群に分けた.体力テストは文部科学省の新体力テストなど,筋力測定はアニマ社が提供しているマニュアル,ROM測定は書籍の手法に従い測定を行った.また,これらの被験者の歩行動作はモーションキャプチャーシステムを用いて計測し,歩行中の3次元キネマティクス及びキネティクスなどの歩行パラメータを算出した. 分散分析を用いて各パラメータを年齢群間で比較した結果,加齢とともに握力,神経反応速度,静的バランス能力が低下していた.下肢筋力は全体的に低下傾向にあり,中でも足底屈,股伸展,股屈曲筋の低下が顕著であった.ROMは膝の屈曲,股の伸展方向の可動域が特に狭まることが分かった.年齢群間のストライド特性の違いから,加齢とともにステップ頻度に依存する歩行動作に変化することが明らかとなった.キネマティクス,キネティクス変数は年齢群間の差が有意であったパラメータが少なかった.一方,ROMに対する歩行中の関節動作範囲と,下肢最大筋力に対する歩行中の関節トルクの割合を年齢群間で比較したところ,高齢者群ほど割合の大きいパラメータが多かったことから,高齢者は体力レベルが低下しているにも関わらず相対的負担度が高い動きで歩行を行っている可能性が示唆された.

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