Thesis or Dissertation 次元性を導入した[Fe(py3CR)(NCS)3]アニオンを基調とするスピンクロスオーバー錯体の研究

山﨑, 優  ,  ヤマサキ. マサル

pp.1 - 107 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
Description
スピンクロスオーバー(SCO)錯体は、情報記憶材料やスイッチングデバイスなどへの応用が期待されている。当研究室ではtris(2-pyridyl)methane誘導体(py3CR ; R = H, OH, py, NH2, CH3)を配位子に用いたアニオニックなSCOユニットを基調としたFe(II)錯体の構造と磁性について研究を行ってきた[1]。本研究では、水素結合やπスタックなどの分子間相互作用による次元性を導入することにより、協同性の高いSCO錯体を合成し、それらのSCO挙動の評価を行った。 合成した錯体の中でMe4N[Fe(py3COH)(NCS)3]?H2O (1)において、幅22 Kの熱ヒステリシスを伴うSCO挙動が観測された。さらに、掃引速度を遅くすることで熱ヒステリシス幅が拡大する特異な掃引速度依存SCO挙動が観測された(図1)。なおFeIIは高スピン(S = 2)で?mT = 3.6 cm3 K mol-1、低スピン(S = 0)で?mT = 0 cm3 K mol-1を示す。昇温過程において、掃引速度が1, 0.3 K/minでは擬似的な2 stepのSCO挙動を与え、更に0.02 K/minでは、50 K級の熱ヒステリシスを伴うSCO挙動が観測された。このような挙動は、Realらの報告[2]に次ぐ、2番目の例である。 また、Me4P[Fe(py3COH)(NCS)3] (2)で幅21 Kの熱ヒステリシスを伴うSCO挙動が観測された。さらに、2においても昇温過程が掃引速度に依存したSCO挙動を示した。どちらの錯体も配位子として用いたpy3COHのピリジン環によるπ-π相互作用により1次元、2次元的な構造を取ることで協同性が得られたと考えられる。本成果の一部は印刷物として公表した[3]。[1] N. Hirosawa, Y. Oso, T. Ishida, Chem. Lett. 2012, 41, 716. [2] M. Seredyuk, M. C. Mu?oz, M. Castro, T. Romero-Morcillo, A. B. Gaspar, J. A. Real, Chem. Eur. J. 2013, 19, 6591. [3] M. Yamasaki, T. Ishida, Polyhedron 2015, 85, 795.

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