学位論文 酸化チタンナノチューブ電極の欠陥特性と光電変換機能向上のメカニズム

秋元, 正哉  ,  アキモト, マサヤ

pp.1 - 122 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
太陽電池の更なる普及のため、Si太陽電池を上回る次世代太陽電池が模索されている。その中で、低コスト・高効率太陽電池として注目されているのが、増感太陽電池(SSC)である。SSCの構成要素の一つとして、TiO2光電極が用いられる。TiO2光電極は、光吸収材である増感剤の吸着基板であると共に、増感剤から注入される光励起電子の輸送媒体としての機能を担う。SSCでは、直径数十nmのTiO2微粒子を凝集させたナノ粒子構造(NP)の光電極が広く用いられている。これに対して、近年、一次元構造を持ちスムーズな電子輸送特性を持つとされるナノチューブ構造(NT)の光電極が提案されている。これら構造の異なるTiO2光電極に、増感剤としてCdSe量子ドットを吸着した量子ドット増感太陽電池(QDSSC)を作製し、光電変換特性の比較を行った。測定の結果、NT-TiO2を含むQDSSCにおいて、短絡電流はNP-TiO2を含むQDSSCに比べて低いにも関わらず、開放電圧が高いという結果が得られた。 本研究では、TiO2光電極の構造の違いによる開放電圧への効果を検証し、NT-TiO2を含むQDSSCにおいて、光電変換機能が向上した物理的メカニズムを考察する。 開放電圧は、TiO2のフェルミレベルに依存する。これは、TiO2の伝導帯の電子密度と関係するため、例えば、TiO2の深い欠陥準位に電子がトラップされ易い状況にあると、再結合確率の増加により失活速度が増え、開放電圧が低下すると考えられる。そこで、NT及びNP-TiO2の欠陥特性を評価するため、フォトルミネッセンス(PL)測定を行った。測定は、液体窒素温度下で行った。測定の結果、深い準位からの発光に関して、NP-TiO2のPL強度がNT-TiO2に比べて強く、この準位へのトラップ確率が高いことが示された。このことから、NP-TiO2での再結合確率が高く、NT-TiO2に比べてフェルミレベルが低下していることが示唆される。これが、NT-TiO2を含むQDSSCにおいて観測された高い開放電圧の一要因と考えられる。

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