学位論文 称賛・注意フィードバックがドライバの意識に与える効果に関する研究

中野, 一成  ,  ナカノ, カズアキ

pp.1 - 81 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
<研究背景>近年,自動車安全に関わる様々な運転支援システムが開発されている.衝突警報システムはその一例である.しかしながら,これらの運転支援システムによって生まれる余裕が,ドライバのリスキーな行動を誘発するという「負の側面」が報告されている.この問題を解決するためには,ドライバの意識に働きかける仕掛けが必要である.また,その仕掛けはドライバの負担にならないようにするためにも,ドライバに対する心理的負荷が少ないことが求められる.<研究目的>本研究では,「ドライバの安全運転への意識を高め」,かつ「心理的負荷の少ない」システムの構築を目的とし,ドライバの運転行動に応じて音声メッセージをリアルタイムで提示する称賛・注意フィードバック(FB)システムを提案する.本システムでは,黄信号時の交差点などのイベント課題に対して,安全な運転行動(適切な一時停止)に対して称賛のメッセージ(「素晴らしい判断です」など)を提示し,不安全な運転行動(黄信号を無視し通過)に対して注意のFBメッセージ(「危険ですよ」など)を提示する.また,個々の被験者に適応させたメッセージを提示するため,三つの機能(1. 音声メッセージデータベース,2. 性格に基づくメッセージ選択,3. 履歴に基づくメッセージ制御)を実装する.<実験方法>ドライビングシミュレータ(DS)を用いた被験者実験により,事前システム(衝突警報システム)による影響及び,称賛・注意FB(事後システム)の効果を調査する.後者では,本システムを用いる称賛・注意群と注意のみのFBシステムを用いる注意群に被験者を分け,二群を比較する.被験者への課題は,DS上に設定した片側一車線の直線道路のシミュレータ走行である.走行中には,一時停止が求められる二つのイベント課題(①横断歩道イベント,②黄信号イベント)が含まれており,一時停止前後の運転行動を評価する.本実験では,7種類の指標(停止回数,一時停止時の減速度,アクセルオフ時及びブレーキオン時のTHW(Time-headway),再発進時の加速度,心理的負荷量,ユーザビリティ評価)によりドライバの安全運転への意識及び心理的負荷を評価する.<実験結果>事前システムの影響として,横断歩道では,アクセルオフ時及びブレーキオン時THWの減少が,黄信号では,停止回数の減少が見られ,負の側面が確認された.称賛・注意FBの効果として,横断歩道では,減速度の減少が.黄信号では,減速度の減少,アクセルオフ時THWの増加,加速度の減少が見られるなど,安全意識の向上が明らかとなった.また,心理的負荷が少なく,他者の安全への満足感(ユーザビリティ評価)が高いという結果が得られた.<結論>以上の結果より,称賛・注意FBは,「危険を予測し,“事前に備える”安全運転への意識が向上する」こと,「心理的負荷が少なく,安全運転に対する満足感を与える」こと,「事前システムによる負の側面としての影響を軽減する」ことが期待される.

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