Thesis or Dissertation 空間光通信におけるマルチモードファイバへのレーザ光のカップリング効率

有佐, 傑  ,  アリサ, スグル

pp.1 - 69 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
Description
空間光通信はレーザ光を用いた高速大容量通信が可能であり、秘匿性が高く、新たに光ファイバを敷設する必要がないといった利点から地上ではファイバネットワークのインフラ補完、衛星通信ではRF通信に変わる大容量通信手段として研究が行われている。本研究では現在使用されている空間光通信システムにおいて、メンテナンスや機材設置の面で利点の多いマルチモードファイバ(MMF)によるファイバ直接結合型の通信システムを採用し、その有用性を評価した。具体的には、MMFを用いたファイバ直接結合の空間光通信システムを約7.8 km離れた地上ビル間に構築し通信実験を行った。この時、大気の局所的な屈折率分布の変化によりレーザ光は大気ゆらぎの影響を受けるため、ファイバで直接受信する場合では受信強度が変化する。そのため、大気ゆらぎとレーザ光がファイバに結合する割合(カップリング効率)の変化について測定を行った。さらに、大気伝搬したレーザ光がMMFへ結合する際のカップリング効率を求める理論モデルを導出した。理論モデルによるシミュレーションには、ファイバ端面での反射損失も考慮しているため、より実測値に近い値を表すことができた。実験によって得られたデータとシミュレーション結果を比較すると、 の大きさが と変化する中で双方の誤差は最大11 %となり、小さな誤差で実測値を予測できると分かった。シミュレーション結果は大気ゆらぎによるカップリング効率の変化を実測値に近い形で再現しており、誤差範囲も先行研究と比較しても非常に小さいものとなった。次に、地上-衛星間におけるMMFへのカップリング効率を衛星から送信されたレーザ光の強度変動を基にシミュレーションし、簡易化に向けたMMFの有用性を検討した。具体的には小型衛星搭載用超小型光通信機器(SOTA)と地上との光通信実験で得られたデータからカップリング効率のシミュレーションを行った。通信実験から95秒間レーザ光を受信することが出来、強度変動からカップリング効率を計算した結果、コア径200 μm、NA0.37のMMFを利用した場合、平均的なカップリング効率は0.38であり、最高値0.54、最低値は0.17となった。最低値から考えるとDownlink光はファイバに結合する際、約-7.7dBm減衰することになる。Downlink光はナスミス台直前で-35~-40 dBm前後のパワーで受信できることが確認できているため、SOTA受信機の最低受信感度-54dBmと本実験の受信光学系の仕様を考慮すると、シミュレーションからMMFを利用した場合でも信号を十分受信できるという結果になった。

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