学位論文 南極昭和基地におけるVLF帯送信電波を用いた電離層擾乱の観測可能性に関する調査

荒舩, 健人  ,  アラフネ, ケント

pp.1 - 57 , 2015-03-25 , The University of Electro-Communications
内容記述
地球の大気の状態を観測する手法として、電離層上部の観測に適する宇宙空間から衛星を使用するものや成層圏の観測に適する気象観測気球を打ち上げるもの等がある。しかしどちらの手法も下部電離層と呼ばれる高度50 km ~ 100 km付近の電離層の観測には適していない。下部電離層を観測する手法としては、電波を使用するものやロケットを打ち上げ観測するものがある。このうち、ロケットを用いる手法では観測が一時的なものとなり常時観測には向いていないため、下部電離層の観測には電波を使用する手法が広く行われている。VLF帯のような波長が長い電波は大地と電離層の間を反射しながら非常に長い距離を伝搬する。伝搬路内で発生した電離層擾乱は、受信局において位相や振幅の異常として観測される。下部電離層の擾乱要因には雷から放射される電磁波による下部電離層直接加熱や雷起源ホイスラ波による高エネルギー荷電粒子降下、極域における宇宙からの荷電粒子の降下があり、電離層の擾乱を解析することでこれらの現象と電離層擾乱の関係、電離圏・磁気圏との相互作用の解明につながることが期待されている。電気通信大学では主に日本国内にVLF帯電波受信設備を設置しており24時間観測を行っている。しかし中緯度で受信する事により伝搬経路の解析が複雑になってしまう。また、電離層擾乱の主要な要因と考えられる雷が盛んな世界三大雷地域である東南アジア、アフリカ、アメリカを伝搬経路に含みづらいことや極域の観測が難しいという課題もある。そこで、新たに高緯度である南極にVLF帯電波受信設備を設置し新たな電離層擾乱観測システムを構築することを計画した。本研究では南極に受信施設を設置する前に、現地で受信可能な送信局等、受信状況の調査を行った。受信施設を設置する予定である南極昭和基地近くの西オングル島において2008年および2014年に観測したデータを解析することで、受信できると考えられる送信局の同定を行った。その結果、欧州の多くの送信局やオーストラリアの送信局等を受信できることがわかった。また欧州の送信局との間に世界三大雷地域であるアフリカを含んでいることがわかった。

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