紀要論文 ケインジアン総需要モデルとリミット・サイクル
Existence of Limit Cycle in a Keynesian Model of Aggregate Demand

中島, 巖

52 ( 2 )  , pp.55 - 77 , 2017-12-15 , 専修大学経済学会
ISSN:0386-4383
NII書誌ID(NCID):AN00132359
内容記述
Blinder[2]は,伝統的ケインジアン総需要モデルにおける均衡への動因を在庫調整過程に求め,安定的均衡をもたらす独自の総需要モデルの再構築化を試みた。以下では,まず,Blinder の議論を辿りながら,産出量を状態変数化してはならないとする教訓の下に,明示的な生産行動方程式を措定し,限界消費性向と限界投資性向の和が1より小さいとする周知の安定条件だけで均衡の安定性が回復する過程を確かめる。しかしながら,上のBlinder の新体系は,貨幣市場要因を欠いている。同要因を導入し体系の拡張化を図ると,上の安定条件の適用にも関わらず均衡の安定性は揺らぎ始める。次に,拡張された体系における安定性の回復を図る手順の代わりに,Kaldor 条件を仮定することにより,不安定性(リミット・サイクル)の発生可能性を探る手順が検討される。Kaldor[8]は,所得と資本から成る動学モデルにおいて,Keynes の消費函数を用いる一方で,所得に関して非線型(S 字型)をなす投資函数を想定し,均衡の近傍において所得に関する限界投資性向が限界貯蓄性向(=1-限界消費性向)より大きいと仮定する。拡張された体系の行動範囲に関する数学的な特定化を施した後,Poincaré=Hopf 定理の適用によって,均衡解の存在性,一意性が確かめられる。さらに,Poincaré=Bendixon定理の適用により,体系におけるリミット・サイクルの発生の可能性が確かめられる。しかるに,Kaldor 条件の妥当性に関する疑念は,以下の議論の妥当性に関してもそのまま適用されるであろう。
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