Departmental Bulletin Paper 貨幣資本家と資本(2) : 今日の「金融化」を背景にして
Money Capitalist and Marxian Capital Theory (2)

清水, 真志

51 ( 2 )  , pp.1 - 39 , 2016-11-30 , 専修大学経済学会
ISSN:0386-4383
NCID:AN00132359
Description
宇野は,原理論から貨幣資本家を捨象することを主張したが,リスクを外部化しようとする貨幣資本家的な行動原理は,資本の投資行動において普遍性をもつ。貨幣資本家は,同質な産業資本間の水平的な金融関係とは異なる,異質な主体間の垂直的な金融関係を媒介する役割を果たす。あるいは,資本は投下しないが商品は転売するような機能資本家的な主体を,広く資本の世界の内外から動員する役割を果たす。この役割は,非資本の世界に浸透しながら展開する今日の「金融化」を考察する上でも重要である。マルクスと宇野とでは,貨幣資本家像に微妙な違いがある。宇野の貨幣資本家像は,マルクスのそれ以上に古典的な金貸のイメージに近い。ただ宇野も,資本市場の下では資金動員の範囲が産業資本の外部にまで拡張され,貨幣資本家的な株主が出現するという点を認めていた。しかしこの点を認めることは,近年の資本市場論ではかえって難しくなっている。非資本の世界にたいする浸透力は,商品経済の論理自体に内在している。現代金融を語る上で重要な要因(証券化・集積化・同質化)は,労働力の商品化のなかにも萌芽的に見られる。今日の「金融化」した世界は,労働力の商品化をつうじて見えてくる原理論の世界から隔絶しているわけではない。金融資本もまた,異質な主体間の垂直的・癒着的な金融関係を媒介し,その関係自体を一つの資本へと転化するものであり,今日の金融市場における投資主体と同様,貨幣資本家的な性格を有している。貨幣資本家は,金利生活者や退役資本家とは違って,ネットワーカーとしての性格を強くもつのである。
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