Departmental Bulletin Paper 分布ラグと在庫変動
Inventory Dynamics with Distributed Lags

中島, 巖

51 ( 1 )  , pp.51 - 77 , 2016-07-11 , 専修大学経済学会
ISSN:0386-4383
NCID:AN00132359
Description
離散時間による期間分析で用いられる集計マクロ・モデルが1期遅れのラグの存在を想定するとき,経済における各主体が直面する信号に対して長さ一定のラグを共通認識することを暗に想定していると言えよう。しかるに,各主体が各様の長さを認識するところでは,主体にまたがりランダムに分布する長さを想定する方が合理的であると考えることができる。ここに,分布ラグの経済問題への適用化を妥当ならしめる理論的根拠を見出すことができよう。Irving Fisherが分布ラグの概念を創案し,景気循環の問題への適用化を図って以来,資本,投資の問題等への適用化が促されていった。ラグとの関わりの深い在庫循環の問題への適用化は,至極当然のそれであると考えられる。以下では,まず,一切ラグに直面することのない局面での在庫変動のあり方をみ,ラグに直面し,ラグの長さ一定の想定の下で展開されるMetzlerの在庫循環のあり方との対比を行なう。さらに,近年その発展が目覚しいカオス的非線型動学の文脈の中で,上のMetzler在庫循環モデルを再考する試みがなされつつある。以下では,指数的に分布する指数ラグの存在を想定し,若干の追加仮定の下で在庫変動がロジスティック方程式によるそれに帰着することを確かめ,ラグの長さを内包するパラメータの変化とともにフリップ分岐ないし同期倍分岐が発生する可能性を確かめる。しかるに,在庫変動は不均衡過程とも不可分の関係に立つことにかんがみ,長さ一定のラグの下で,そこに在庫変動が「くもの巣」型の調整過程をもち,在庫加速度係数をパラメータとするとき,カオスが発生する可能性をスケッチする。
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