紀要論文 貨幣資本家と資本(1) : 今日の「金融化」を背景にして
Money Capitalist and Marxian Capital Theory (1)

清水, 真志

51 ( 1 )  , pp.1 - 49 , 2016-07-11 , 専修大学経済学会
ISSN:0386-4383
NII書誌ID(NCID):AN00132359
内容記述
商品は売れていないが資産の評価額は増えるというタイプの価値増殖は,非姿態変換型W‥‥Wと図式化される。脱物品化・投機化・情報化の傾向が純粋なかたちで表出する金融市場では,このタイプの価値増殖が重要性を帯びる。しかし,その重要性を正しく評価するためには,これまで売買概念や利潤概念の下位区分とされてきた貸借概念や利子概念の位置づけを,根本的に見直す必要がある。この見直しの鍵を握るのは,資本前貸という概念である。マルクスも,資本を論じる際にはこの概念を多用している。マルクスの資本理論,特に利子生み資本論には,貨幣資本家と企業者との貸借関係を重視したテュルゴーの資本理論との親近性が認められる。しかしマルクスは,自分への資本前貸を,他人への貨幣貸付と同列に扱っている。そのことはまた,資本と貨幣資本との区別が曖昧になる結果を招いている。宇野の「それ自身に利子を生むものとしての資本」論は,自己金融型の個人資本を偏重した宇野自身の資本理論にたいするアンチテーゼを含んでいる。資本の物神性は,たんなる理念ではなく,資本の姿を自己金融型の個人資本から乖離させる現実的な因子である。宇野はマルクスの利子生み資本論を批判して,原理論のなかから貨幣資本家を捨象することを主張したが,そのことと,原理論のなかから非姿態変換型の価値増殖を捨象することとは別の問題と考えなければならない。
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