紀要論文 世界遺産登録後のバリ島ジャティルイ村の変化 : 慣習村間の対立と「多元的集団構成」
World Heritage and the transformation of Balinese 'pluralistic collectivism' : The case of Desa Jatiluwih

永野, 由紀子

6pp.27 - 41 , 2016-03-15 , 専修大学人間科学学会
ISSN:2186-3156
NII書誌ID(NCID):AA12515455
内容記述
ジャティルイ村の棚田が、バリ島初の世界遺産としてユネスコのリストに登録されたのは、2012年7月である。棚田の景観的な美しさだけでなく、トリ・ヒタ・カラナの哲学を体現したスバック・システムが評価されてのことである。トリ・ヒタ・カラナとは、カミと人間、自然と人間、人間と人間の調和を説くバリ・ヒンドゥーの精神を表す言葉である。だが、登録から3年後のジャティルイ村では、観光収入の配分をめぐって複数の集団が拮抗すると同時に、土地をめぐるトラブルが増えていた。観光客の目を楽しませるための「景観のための農業」と土づくりを大事にする「農業のための農業」とのあいだの矛盾も生じている。こうした変化は、クリフォード・ギアツが「多元的集団構成」と名づけたバリ・ヒンドゥーの農村の社会組織の特質に関わる重要な変化である。バリの村(デサ)は、行政村と慣習村とスバックという3つの主要な多元的集団から構成されている。具体的には、世界遺産の登録後、観光収入の配分をめぐって、ジャティルイ村のなかの2つの慣習村間の利害対立が昂じている。また、行政村と慣習村とスバックという機能が異なる3つの社会集団が拮抗するなかで、スバックの占める位置が大きくなっていた。こうした状況のなかで、調整機構としての行政村の役割が増大していた。こうした変化は、ポスト・スハルト期の地方分権化のなかでの観光振興のあり方と深く関わっている。
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