Departmental Bulletin Paper 商業資本と商品価値 (2) : 物神性論の視座から
Commercial Capital and Commodity Value (2)

清水, 真志

49 ( 3 )  , pp.19 - 64 , 2015-03-16 , 専修大学経済学会
ISSN:0386-4383
NCID:AN00132359
Description
商業資本の投機性=物神性を明らかにするためには, 商業資本と商品価値との関係に光を当てる必要がある。商業資本の下での商品価値とは, 卸売価格以上・再販売価格以下の相場価格のことを指す。商業資本への値引き販売には, 卸売価格を割り込むところまで再販売価格が下落することを未然に防ぎ, 相場価格を一定水準に保つという効果がある。商業資本の相場維持効果によって, 相場価格相当の価値が商品に内在しているという物神的観念はより確固たる裏づけを与えられるのである。商業資本の投機性=物神性は, さらに二つの要因によって強められる。商業組織では, 個々の商業資本の次元ではすでに売れているものが, 商業組織の次元ではまだ売れていないというギャップが生まれる。このギャップは, 商品投機に拍車をかける一因となる。もう一つの要因は, 貨幣の価値尺度機能そのものに伏在している。くり返しの購買は, 商品所有者の価値評価を「社会化・客観化」させるが, 価格を「平均化・基準化」させるとは限らない。商業資本によるくり返しの購買は, 生産価格から乖離した相場価格の水準で価値評価を「社会化・客観化」させる可能性がある。以上の問題は, 山口重克が提起した「社会的価値」という概念とも関係する。商品の「社会的価値」は, 「個別的価値」とは違って価格変動の重心を形成する。この限りでは, 「個別的価値=広義の価値」・「社会的価値=狭義の価値」という組み合わせが正解であるように見える。しかしまた「社会的価値」が形成するのは, 「狭義の価値」とは違ってルースな意味での重心でしかない。むしろ正解は, 「社会的価値=広義の価値=相場価格」という組み合わせなのである。「社会的価値」は, 目に見えるかたちで存在するものではない。しかしその不可視性こそが, 「社会的価値」に社会的通念としての普遍性を与える。こうした事情は, 取引所のような特殊な市場でも変わらない。なるほどそこでは, 一種類の相場価格が目に見えるかたちで存在する。しかし, 真の「相場価格=社会的価値」は, 個々の相場価格とは別個のものとして読み取られるのである。
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