学位論文 価値観アイテムモデリングを用いた推薦システムに関する研究

山口, 貴之

pp.1 - 79 , 2016-03-25
内容記述
本論文では,価値観に基づくアイテムモデリング手法,及びその推薦アルゴリズム,推薦説明への適用方法を提案し,ユーザ実験によりその有用性を考察する.近年,情報化技術の発展により,ユーザが膨大な情報の中から自分のニーズに合ったものを探すのが困難になるという問題が生じている.これに対する解決策の一つとして情報推薦システムが注目されている.情報推薦の代表的な手法に協調フィルタリングがあり,ユーザの行動履歴と類似する履歴を持つユーザの評価を利用して推薦アイテムを決定する.この手法はショッピングサイト等を含め幅広く使用されている.情報推薦の手法の中にはユーザの嗜好だけでなく,意思決定の背後にある価値観に着目して推薦を行う手法が提案されおり,ユーザベースの協調フィルタリングや内容ベースの推薦手法に対してその有効性が示されている.この価値観モデリング手法では,価値観をアイテムの各属性に対するユーザのこだわりとみなし,ユーザレビューよりユーザモデルを構築している.本論文ではこの手法をアイテムモデリングに拡張することを目的とする.アイテムに対しては,アイテムに投稿されたレビューを収集し,そのアイテムがどの属性に着目して評価されているのかを価値観モデルとして求めることが可能と考える.価値観モデル構築に利用可能なレビューは,アイテムの方がユーザモデリングと比較して集めやすいことが期待できる.また,アイテム間の類似度計算に構築されたアイテムモデルを使用することでアイテムベースの推薦も可能となる.さらに構築されたアイテムモデルをアイテムの特徴として捉えユーザに提示することで,推薦説明に活用する事も期待できる.情報推薦において,推薦アイテムと共にその推薦理由やアイテムの特徴を説明することは,推薦システムに対する信頼性や満足度を向上させる手段として,近年その必要性が高まってきており,価値観モデルに基づく推薦説明は,従来手法とは異なる観点からの情報提供に繋がることが期待できる.本論文では価値観に基づくアイテムモデリング手法を提案する.また構築されたモデルを用いた,推薦アルゴリズム,推薦時のアイテム説明の生成手法も提案し,プロトタイプシステムを構築して有用性を検証する.アイテムモデルはモデル構築に多数のレビューを利用可能という利点から,相関ルールの指標の1つであるリフト値を算出し,アイテムの特性をより詳しく分析する.推薦アルゴリズムでは,アイテム間の類似度計算に提案するアイテムモデルを使用しアイテムベースの推薦を行う.さらに,構築されたアイテモデルから説明文を作成,可視化することで推薦時にユーザに提示する.また事前にアイテムモデルの解釈に関する予備実験を行った結果に基づき,モデルを利用した推薦説明の作成に対する考察を行う.本論文は5つの章から構成される.1章では,本論文における研究背景及び研究目的を記述する.2章では,関連研究として,代表的な推薦手法である内容ベースフィルタリングと協調フィルタリングについて説明した後,価値観モデリングに関する研究,推薦説明に関する研究を紹介する.3章では,価値観に基づくアイテムモデリング手法を提案する.リフト値を用いたアイテムモデルの算出方法を説明した後,アイテムモデルを用いたアイテム間の類似度計算方法を述べる.さらにアイテムモデルを元にした推薦説明の作成方法も述べる.4章ではアイテムモデルの解釈に関する予備実験と,提案手法を実装した推薦システムによるユーザの評価実験の結果を示す.予備実験では,ユーザのアイテムモデルに対する解釈をアンケート形式で収集し,その結果を分析するとともに推薦システムへの適用方法を考察する.評価実験では推薦システムを利用して提案手法とベースラインにおける推薦精度を比較する.ベースラインにはピアソン相関を使ったアイテムベース協調フィルタリングを使用する.またアイテムの推薦時には提案手法による推薦説明の提示を行い,提案する推薦説明がユーザの意思決定に与える影響について考察する.5章では,提案手法についてまとめるとともに,今後の展望についても述べる.
This thesis proposes a personal value based item modeling for recommender system. The proposed method extends existing personal value based user modeling, which models user's personal values using RMRate based on the polarities of evaluation. In order to analyze the property of items in more detail, the proposed method employs lift value instead of the RMRate. This thesis also proposes a method to generate explanation of recommendation, which is expected to improve user's satisfactions for recommender systems by showing process of recommendation. A prototype recommender system is implemented, using which the effectiveness of the proposed method is evaluated by user experiments.
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(工学)
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