学位論文 レビュー閲覧履歴からの価値観モデリングを用いた情報推薦システムに関する研究

清水, 涼人

pp.1 - 66 , 2016-03-25
内容記述
本論文では,ユーザがレビューを評価した履歴に基づきそのユーザの価値観をモデリングする手法,およびモデリング結果を利用した情報推薦システムを提案する.情報化社会の発展により,大量の情報が発信され,それを誰もが簡単に入手し,利用することができるようになっている.これら大量の情報の中からユーザ自身が求めるものを探すことは,ユーザに高い負荷を与える.そこで,ユーザの特性に合致した情報を提示する情報推薦システムが注目を浴びており,ショッピングサイト等で広く活用されている.しかし,推薦を行うためにはユーザに関する多くの情報が必要であり,新規に利用を開始したユーザに対して適切な推薦を行えないという問題が指摘されている.また,十分な推薦精度を得るためには,一般に多くの情報を必要とする.これらの問題を解決し,情報推薦システムの適用範囲を広げるために,より少ない情報から推薦を行う必要性が高まっている.情報推薦手法は一般に,多くのユーザの嗜好情報や行動情報を収集し,嗜好が類似するユーザの情報を用いて推薦を行う協調フィルタリングと,アイテムを特徴毎に分類し,類似した特徴を持つアイテムの推薦を行う内容ベースフィルタリングに大別される.しかし,協調フィルタリングの場合には新規ユーザに適切な推薦が行えないcold-start問題などが存在する.内容ベースフィルタリングの場合では,大量のアイテムを扱う際に,属性や属性値のパターンが膨大に存在するため,ユーザが過去に好んだアイテムと共通する属性を持つ未知アイテムが見つからない場合が発生しやすい.従って,協調フィルタリングの場合と同義の,広義のcold-start問題やsparsity問題が課題といえる.より少数の情報から安定したユーザモデルを獲得するために,意思決定の背後にある価値観に着目し,情報推薦に応用する手法が研究されている.価値観の定義は様々に考えられるが,本論文ではユーザがどの属性を重視してアイテムの評価を決定するかを表す概念であるとの定義を採用する.価値観を推薦に用いることで,より少ない嗜好情報やインタラクションからユーザに適切な推薦を行えることが期待でき,既存研究で有効性が示されている.本論文では,ユーザの価値観をモデリングするための情報源として,ショッピングサイトやレビューサイトに投稿されているレビューを利用する.具体的には,アイテムの各属性についての評価を用いてユーザの価値観を推論する.価値観を用いた情報推薦における既存研究では,ユーザが投稿したレビューに基づき,そのレビュアーが意思決定において重視する属性を推定している.しかし,この手法では,レビューを投稿していない新規ユーザに対しては価値観モデリングが不可能であり,cold-start問題には対応できない.各属性とそのアイテムに対する総合評価をユーザから明示的に取得し,価値観モデルを構築するアプローチも存在するが,各属性に対して評価を行うことはユーザにとって負荷の高い作業であり,モデルの作成のコストが増大する.そこで,本論文では,レビューをユーザが閲覧するという行為から,ユーザの価値観をモデル化する手法を提案する.提案手法により,レビューを書いていない新規ユーザに対しても価値観モデリングが可能であり,またレビュー閲覧はオンラインサイトで一般的な行為であるため,コスト面での効率化も期待できる.本論文では提案手法を組み込んだ推薦機能を持つレビューサイトのプロトタイプシステムを構築し,ユーザ実験により有効性について検証する.本論文は5章から構成される.1章では,研究背景及び,本論文の研究目的について述べる.2章では,協調フィルタリングや内容べ一スフィルタリングなどの情報推薦手法に関する研究,価値観およびこれを用いた情報推薦手法に関する研究,レビューを用いた情報推薦手法に関する研究についてまとめる.3章では,レビュー閲覧履歴を用いたユーザの価値観モデリング手法,推薦アルゴリズムおよび,作成したユーザモデルを用いた評価実験の内容について述べる.ユーザモデリングでは,ユーザが複数のレビューを閲覧・評価する行為からユーザモデルを作成する.既存研究では,ユーザに提示するレビューを事前に決定していたが,提案手法では,ユーザの評価情報から次に提示するレビューを動的に決定することで,システム構築コストの削減とユーザ価値観の素早い推定を目指す.また,得られたユーザモデルに基づき推薦アイテムを決定するアルゴリズムについても述べる.4章に示す実験では,提案手法とランダムにレビューを提示する手法をそれぞれ用いて,2種類のユーザモデルを作成する.アイテム推薦に関する評価実験では,提案手法を用いて作成したユーザモデルに基づく推薦,ランダム提示を用いて作成したユーザモデルに基づく推薦満足度ランキングに基づく推薦の3種類を実施し,その結果を比較する.実験結果より,提案手法によるユーザモデルの有効性および,推薦精度やモデル生成コストなどについて考察する.5章では,提案システムと実験結果についてのまとめを述べる.
This thesis proposes a method for generating a user model reflecting user's personal values from user's browsing histories of' customer reviews. This thesis also proposes a recommender system using the personal-value-based user model. Existing recommendation methods such as collaborative filtering and content based filtering tend to be less accurate for new users and items due to the lack of information about them. The personal-value-based recommender system is expected to realize more precise recommendations for new users. As a customer review contains reviewer's evaluation of an item and its attributes, the proposed method estimates attributes on which a target user put high priority when evaluating items from customer reviews the user refers to for his/her decision making. This thesis examines the effectiveness of the proposed method with user experiments.
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(工学)
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