学位論文 中濃度過酸化水素水を用いた宇宙機推進系の研究開発

佐久間, 岳志

pp.1 - 62 , 2016-03-25
内容記述
宇宙機の軌道や姿勢を制御するために必要な推進系には,高い推進性能・信頼性の観点から推進剤としてヒドラジン系の燃料が使用される場合が多い.しかし,ヒドラジン系燃料は高い毒性を有しているため,安全性そのものはもちろん安全性を確保するために高額な運用コストが発生してしまうことも問題となっている.宇宙機推進系の安全性が向上すれば,それに伴って運用コストの低減も可能となるため,大学や民間企業単体で開発されることから高い安全性と低コスト化が要求される超小型衛星への搭載や,将来的には有人ミッションへの適応も可能になる等,宇宙開発・宇宙利用の裾野を大きく広げることが期待できる.そのため,有毒なヒドラジン系燃料に代わって「グリーンプロペラント」と呼ばれる低毒性推進剤を使用した推進系が次世代推進系として世界中で注目されている.上記の宇宙機推進系の現状を踏まえ,本研究ではこれまで開発されてきた低毒性推進剤と比較して更なる安全性を追及するため,60wt%過酸化水素水を使用することで超小型衛星開発の主な担い手である大学やベンチャー企業等でも取り扱うことのできるほどに安全・簡便で低価格な比推力80秒程度の一液式推進系,及び比推力200秒程度の二液式推進系の実現を目的とした研究開発を行った.過酸化水素水を触媒によって分解・加熱し,分解ガスを噴射することで推力を得る一液式推進系においては,実際に宇宙空間での軌道上噴射に成功し,衛星に搭載されたセンサ等のデータを解析することで推力115mN,比推力42秒という運用結果を得た.また,開発した推進系貯蔵タンクを用いて60wt%過酸化水素水の自然分解率測定実験を行い,振動の有無,貯蔵時の雰囲気圧力が自然分解率に与える影響を調べた.過酸化水素水を分解することで発生する酸素を利用してエタノールを燃焼し,発生した燃焼ガスを噴射することで推力を得る二液式推進系の設計・製作も行った.地上大気圧下で行った噴射実験にて断続的ではあるが製作したスラスタを用いた燃焼・噴射に成功し,瞬間的に推力875mN,比推力83秒という結果を得た.
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(工学)
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