Thesis or Dissertation Belle II 実験Aerogel RICH検出器のための光検出器制御システムの開発

米永, 匡伸

pp.1 - 92 , 2017-03-25
Description
高エネルギー加速器研究機構で行われるBelle II 実験は、前身のBelle 実験に比べ50 倍もの積分ルミノシティでの大統計を用いて標準模型を超える新物理現象の探索を行う実験である。Belle II 検出器は7 つの検出器から成り、Aerogel RICH(Ring Imaging CHerenkov、ARICH) 検出器はBelleII 実験において、エンドキャップ部における荷電π=K 中間子の識別を担う。ARICH 検出器は輻射体であるエアロゲルと光検出器HAPD(Hybrid Avalanche Photo Detector) の2 層構造になっており、荷電粒子が輻射体を通過する際に円錐状に発生するチェレンコフ光を後段のHAPD で2 次元のリングイメージとして観測し、その放射角を再構成することで粒子の識別を行う。本研究では専用の電源管理システム及びデータ読み出し系の制御システムの開発を行った。HAPD 1 台の動作には光電子加速用電圧(-8500 V)、APD 逆バイアス電圧(~ 350 V ×4)、ガード電極(175 V) の3 種類計6 系統の異なる電圧供給が必要であり、ARICH 検出器に使用する420台のHAPD に電圧供給を行う専用の電源装置が必要となる。またHAPD から出力される信号を処理し、チェレンコフ光のヒットパターンを検出するための専用の読み出し回路の開発が行われ、それらはBelle II 実験データ収集フレームワークであるBelle2Link を用いて制御される。多数のHAPDを使用するため、電源及び読み出し回路も多数の装置から成っておりその管理は極めて複雑であり、制御ソフトウェアを含むこれらの管理システムの開発はARICH 検出器の安定した運転ひいては物理データの品質維持における最重要課題となる。本研究で開発した制御システムは2016 年夏からARICH 検出器建設時に行われた宇宙線を用いた性能試験ですでに使用されており、その実用性を確認することに成功した。一方で宇宙線による荷電粒子のリングイメージ検出試験は物理実験に使用するARICH 検出器実機を用いて初めて荷電粒子の観測を行ったものであり、検出器の特性を実験開始に先立ち理解するため極めて重要な試験と言える。本研究では収集したデータのデータフォーマットやデッドチャンネルの有無の確認から宇宙線荷電粒子によるリングイメージの検出など検出器の動作検証を行った。本論文では高圧電源装置の性能評価試験の結果と高圧電源及びデータ読み出し制御システムの開発について解説し、宇宙線を用いたARICH 検出器の性能評価試験と物理測定開始に向けた展望を述べる。
首都大学東京, 2017-03-25, 修士(理学)
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