Thesis or Dissertation Double Chooz 検出器のエネルギー応答の研究とステライルニュートリノ探索

町田, 篤志

pp.1 - 80 , 2017-03-25
Description
ニュートリノはν_e、ν_μ、ν_γ の3 つのフレーバー固有状態をもつレプトンである。ニュートリノが質量を持ち、フレーバー固有状態が質量固有状態の混合(MNS 行列) で表されるときにニュートリノ振動と呼ばれるフレーバー間の遷移現象を起こす。このMNS 行列のパラメータの一つがθ_<13> と呼ばれる混合角であり、ニュートリノの基本的な性質を示す物理量である。近年まで混合角θ_<13> には上限値が与えられていたが、2012 年になって有限値を持つことが複数の実験によって示された。現在はその精密測定が進められており、将来実験によるレプトンセクターのCP 非保存パラメータδ_<CP> の測定、質量階層性の決定、θ_<23> 縮退問題の解決などに繋がると期待されている。Double Chooz 実験はフランスのChooz 原子力発電所で行われている混合角θ_<13> の精密測定を目的とした国際共同実験である。本実験は原子炉で発生する反電子ニュートリノの欠損量とエネルギースペクトルの歪みを測ることにより、混合角θ_<13>を精密測定する。2011年4月より後置検出器(原子炉から1150 m) を用いた計測を開始し、2015年1月からは前置検出器(原子炉から約400 m) と後置検出器の両器を用いた測定が開始された。θ_<13>を精密に求めるためには、ニュートリノのエネルギーを精密に測定できなくてはいけない。そのためには検出器のエネルギー分解能やエネルギーの線形性といったエネルギー応答を正確に理解する必要がある。本研究では、新しく建設された前置検出器のエネルギー応答を評価し、後置検出器と比較した。また、検出器応答の数値計算モデルを用いて、前置検出器シミュレーションに用いる液体シンチレータの光の減衰長のパラメータに関しての調整を試み、データをよく再現するように改善した。一方、新たなDouble Chooz 検出器を用いた研究課題としてステライルニュートリノ探索がある。ステライルニュートリノはLSND 実験などでその存在が示唆されν_e、ν_μ、ν_γ の3 種類のニュートリノと異なり弱い相互作用をしない。そのため3 世代のニュートリノとの混合の測定でしか観測できない。Double Chooz 実験の前置検出器は原子炉から400 m 程度の距離にあるため、電子ニュートリノがステライルニュートリノに振動する仮説における、混合角(θ_<14>) と質量二乗差(Δm^2_<41>) の振動パラメータ平面上の未解決領域に感度を持つと期待される。本研究では、新たに開発された「ガドリニウム+水素捕獲事象」解析手法の使用を想定し、また新たに作成された前置検出器のフルシミュレーションを用いて、ステライルニュートリノの探索感度の見積もりの更新を行った。
首都大学東京, 2017-03-25, 修士(理学)
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