Thesis or Dissertation 体幹運動に着目した歩行支援ウェアの開発

原口, 直登

pp.1 - 93 , 2017-03-25
Description
近年の高齢社会に伴い,歩行支援ウェアの研究が進んでいる.歩行支援ウェアは安全で軽量といった,人間が装着するという実用的な観点から有効である反面,モータなどの動力を用いないため十分な歩行支援効果を得られないことが課題となっている.現存の歩行支援ウェアは下肢の2次元的な動きにのみ着目したものがほとんどであるが,The Spinal Engineでは,「歩行の本質は体幹や上肢の運動であり,下肢の運動はそれに付随するものである」とされており,また体幹トレーニングやポールウォーキングのように,体幹や上肢の運動を歩行に取り入れたものも存在する.そこで我々は歩行時の体幹運動に着目し,体幹の運動を下肢へ伝達することで歩行を支援する歩行支援ウェアを開発した.開発した歩行支援ウェアの歩行支援効果を調査したところ,股関節モーメントの伸展側に支援効果が得られた.しかし歩行全体の支援としては不十分であり,着心地や気易さなどの装着性の面で課題もある.そこで本研究では,開発を進めている歩行支援ウェアの支援効果と装着性の向上を目的とし,新たな歩行支援ウェアの開発を行った.第1章は研究背景や目的について述べる.第2章は歩行支援ウェアと開発構想について述べる.第3章は実験に基づいた歩行支援ウェアの機能最適化について述べる.歩行支援ウェアは体幹と下肢をエラストマー(弾性素材)のベルトによって接続し,体幹と下肢の運動によりエラストマーベルトが伸縮するような構造となっている.エラストマーベルトの伸縮に応じた張力によって股関節まわりにモーメントを発生させ,股関節運動を支援する.エラストマーベルトの張力はベルトを配置する位置とベルトの素材によって変化するため,ベルト位置と素材の最適化を行った.第4章と第5章では歩行支援ウェアの評価実験について述べる.機能最適化の結果に基づき歩行支援ウェアを製作後,性能評価実験を行った.実験は平地歩行実験と階段歩行実験を行い,歩行支援ウェアの歩行支援効果を評価することを目的とした.実験は健常成人男性13名を対象とし,歩行支援ウェア着用時と未着用時の歩行動作を計測した.計測にはモーションキャプチャシステムとフォースプレート,エラストマーベルトの張力を計測するための張力計,筋電図センサを使用し,着用時と未着用時の股関節モーメントと体幹部分の筋電図を算出,両者の比較を行った.実験の結果,平地歩行時は両脚支持期から遊脚時にかけて歩行支援ウェア着用により約25%の歩行支援効果が得られ,支援効果の高い歩行支援ウェアの開発に成功した.階段歩行時は上り動作時に支援効果が得られたが,下り動作時に負担増となることがわかった.第6章では結論を述べる.本研究の結論を以下に示す.■体幹運動により下肢運動を支援する歩行支援ウェアの開発を行った.■エラストマーベルトの位置と素材を最適化することで高い歩行支援効果が期待できる歩行支援ウェアの製作を行った.■歩行実験の結果,平地歩行時の両脚支持期から遊脚時にかけて約25%の支援効果と,階段歩行時の上り動作時に支援効果が得られた.
首都大学東京, 2017-03-25, 修士(工学)
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