Thesis or Dissertation 観光資源に関するオープンデータの整備と利活用に関する研究

江﨑, 貴昭

pp.1 - 72 , 2016-03-25
Description
オープンデータとは,公開組織がオープンデータであることを宣言しており,営利目的も含めた二次利用が可能なルールで公開された,機械判読に適した形式のデータである.情報通信技術の進展に即して行政の所有する情報の電子化が進む中,日本政府は2012年7月に電子行政オープンデータ戦略を策定した.そして2013年12月には各府省庁が公開する公共データのデータカタログサイト「Data.go.jp」の試行版が公開されるなど,国を挙げてオープンデータの取組みを行っている.オープンデータの取組みは国によるものだけではなく,地方自治体においてもその動きは活発で,その期待は大きい.しかし,オープンデータの公開の増加と相反して,その利活用は活発に行われていない.防災情報や都市計画など,公共データの分野によって適したデータの内容や形式,整備環境があって然るべきであることを考慮し,本論文では観光資源の分野に着目し,観光資源のオープンデータの課題と可能性を示唆することを試みた.これによって,ニーズの高い観光資源のオープンデータを示し,よりよいデータの提供環境と利活用環境への方策への寄与が期待できる.はじめに,地方自治体が提供する観光資源のオープンデータの整備状況を把握した.その結果,観光資源を提供している地方自治体は70都市,データファイル数は270であることがわかった(2015年11月30日現在).また,位置情報や写真,資源紹介文のようなデータ内容がすべて揃っているデータファイルは全体の約13%しか存在せず,データ内容はあまり充実していないことがわかった.また,データファイルによってデータ形式の不統一がみられた.さらに,「公園・庭園」,「施設景観」,「自然景観」,「神社・仏閣」,「文化史跡」,「文化施設」,「動植物」のような公共施設がメインであるデータファイルと「レジャー・スポーツ」,「温泉」,「イベント・地域風俗」,「ショッピング」,「宿泊施設」,「乗り物」のような民間施設がメインであるデータファイルとでは提供の特徴は異なり,前者は出現率や共起率が高く,後者は出現率や共起率が低いことから,公共施設を中心とした,行政が元から保有しているようなデータがひとつのデータファイルにまとめてオープンデータ化されている傾向が明らかになった.次に,自治体提供のデータの整備状況の課題を明らかにするために,実際に二次利用されている民間提供のデータとの間で整備状況に関して比較を行った.なお,民間提供のデータは自治体提供のデータと比べて,平均ダウンロード率,アプリへの二次利用率が共に高かったことから,自治体提供のデータよりデータの利活用が進んでいる.自治体提供と民間提供との間で比較を行った結果,位置情報や写真,資源紹介文といったデータ内容をすべて含んでいるデータファイルの確率は,自治体提供のものが約13%であったことに比べ,民間提供のものは約41%といずれも高い割合となった.位置情報,写真,資源紹介文それぞれの含有率においても自治体提供と比べて民間提供のものがいずれもその値は上回り,データ内容の充実がデータの二次活用を促している結果となった.また,自治体提供のデータは一種類の観光資源のデータを扱ったデータファイルが多く,民間提供のデータは複数の種類の観光資源情報を含んだデータファイルが多かったことから,様々な種類の観光資源情報を含んでいるデータが必要であることがわかった.さらに,民間提供のデータでは「グルメ」や「乗り物」のような民間データタグ群の観光資源タグが自治体提供のデータと比べて多く出現しており,行政が元から保有していないようなデータが求められている傾向が明らかになった.さらに,求められる観光資源のオープンデータについての考察をより詳細に行うために,オープンデータの現場でデータの提供や利活用を行う方々にインタビュー調査を行った.その結果,観光資源のオープンデータの使用法として,元々会社が業務として行っている事業の効率化や拡張のツールとして有用であるという考えを伺った.また,自治体による位置情報や写真などのデータ内容の充実に期待する一方で,行政がデータの形式の統一化を行うことは行政の業務フローに支障が出るとの考えから否定的に捉えており,データ形式の統一等を行う第三者の民間企業の登場に期待しているという考えを伺った.今後,自治体提供の観光資源のオープンデータが利活用されるための示唆としては,自治体が現在保有しているデータの公開とデータ内容の充実化に努めると同時に,自治体が保有しないようなデータを市民や民間から募る受け皿としての役割を果たすことが重要であることが明らかになった.また,公開されたデータを集約し,どのようなデータを有しているかタグ付けを行ったり,データの形式を統一化する民間組織の登場を地域内で推進したりする必要があるといえる.
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(都市科学)
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