学位論文 ホテルへの転用による建築ストック活用に関する分析 : ニューヨークの事例を中心として

藤本, 祐太

pp.1 - 83 , 2016-03-25
内容記述
本論文では、建築ストックのホテルへの転用に注目し、広く国内外の事例を収集し分析考察を加えることを通し、今後の日本での計画に示唆を与え、地域の核となる場が一つでも多く生まれることに貢献することを目的とする。ホテルを取り巻く背景や目的についてまとめた2 つの章に始まり、分析・考察を行った3 つの章、総括としての結章からなる。序章では、研究の背景と目的を示す。背景として、研究室での海外コンバージョン建築調査研究の概要として調査国・調査年・主要参考文献についてまとめる。また、日本の現状を人口減少やそれに起因する経済低迷にふれることで、日本の観光産業を観光収入や観光客数などの観点から、それぞれ把握し、現代日本におけるホテルの必要性についてまとめる。次いで、アメリカでの先進事例に触れホテルコンバージョンが地域活性化の一手法として有効であることを示す。第二章では、ホテルコンバージョンの概論として、まず「ホテルの定義」を建築基準法・消防法・旅館業法の3つの関連法規を参照し確認、そのうちの一つである旅館業法の構造設備基準に習い本研究におけるホテルを定義する。次いで、「ホテルの分類」として、客室数・立地・面積構成から「シティ・リゾート・コミュニティ・ビジネス・小規模」へと分類する「日本の分類」と価格帯・星数から「ラグジュアリー(5 星)・アップスケール(4 星)・ミッドプライス(3 星)・エコノミー(2 星)・バジェット(1 星)」へと分類する「海外の分類」についてまとめる。最後に、江戸時代から現代に至るまでの「日本のホテル史」を、明治維新や第2次世界大戦、東京オリンピックなどの社会背景と関連付けながら、「宿の時代・グランドホテルの時代・コマーシャルホテルの時代・新しいホテルの時代」の4つの時代に大別し、各時代の代表的事例を挙げながらまとめる。その中で1973 年開業の倉敷アイビースクエアを起源とする、国内におけるホテルコンバージョンの動向についてもまとめる。第三章では、海外事例の事例分析を行い考察を加える。前述の研究室調査や米国を中心とした文献資料を参照し計271 事例を抽出、「国・前用途・建設年・転用年」の観点から分析を行った。次いで、国別で最も事例数の多かったアメリカの124 事例を対象に「都市・前用途・建設年・転用年」に「客室数」を加えた5 つの観点から分析を行った。都市別では、「①ニューヨーク:27 事例、②シカゴ:11 事例」と、コンバージョン誘導策を実施する2都市で多く事例が確認でき、前用途では、「①オフィスビル:40 事例、②工場:8 事例、③個人住宅・倉庫:7 事例、④銀行:6 事例」と、同国ではオフィスビルと産業系の工場・倉庫が多くホテルへと転用されていることが確認できた。同様に、その他各観点からも分析考察を加え、海外・アメリカのホテルコンバージョンの実態を明らかにした。第四章では、前章のアメリカの事例の中で、都市別で最も事例の多かったニューヨーク全27 事例を対象に事例分析と考察を加える。まず、「地区・前用途・建設年・転用年・階数・客室数・価格帯」の7 つの観点から分析を行った。前用途では、「①オフィスビル:9 事例、②工場:5 事例、③倉庫:3 事例」と、前章アメリカ事例と同様の結果が得られ、価格帯では一泊5 万円以上のラグジュアリーが17 事例と事例の半数以上を占めることが明らかとなった。次いで、詳細分析として「前用途・建設年・歴史的建築指定」の観点から「既存建築」を類型化し、その傾向をまとめた。ちなみに、指定を受けた事例は全27 事例中6 事例であった。さらに、「転用操作」を機能・構造・設備・外壁・増減築からなる「建築操作」と、特定の機能空間内部の床・壁・天井・家具からなる「内装操作」の2つに大別し、その中から写真資料等から分析可能な「機能・外壁・増築・内装」の各操作に対して分析を行いその傾向を示した。第五章では、日本事例の事例分析を行い考察を加える。国内の主要建築雑誌やその他文献資料を参照し計39 事例を抽出、国内でのコンバージョン関連法規について触れた後、「都道府県・前用途・後用途・建設年・転用年・階数・客室数・価格帯」の8 つの観点から分析を行った。前用途では、「①個人住宅:18 事例、②オフィスビル:6 事例」と古民家等を活用した一棟貸しの宿やゲストハウスが最も多く確認でき、価格帯では一泊4 万5 千円以下のミッドプライスから一泊数1000 円のバジェットの比較的安価な価格帯に事例が集中することが明らかとなった。次いで、前章と同様に詳細分析として、「既存建築」を類型化しその傾向をまとめ、「機能・外壁・増築」の各転用操作に対して分析を行いその傾向を示した。結章では、第四章・第五章の分析を踏まえ、ニューヨークと日本の事例を比較。日本でホテルへの用途転用を計画する際に有効な視点を、「所在地・前用途・建設年・転用年・階数・客室数・価格帯」と「転用操作」の観点から示す。
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(建築学)
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