Thesis or Dissertation ケプラー衛星データの系統的解析による長周期木星型惑星の発見

上原, 翔

pp.1 - 80 , 2016-03-25
Description
2016年1月現在、太陽系外惑星の発見数は2000個を超え、惑星検出を試みながら失敗続きであった20 年前からは想像もできない進展をみている。惑星系の姿も太陽系と瓜二つの系から、彗星のような楕円軌道の惑星、水星軌道よりも内側に5 個も惑星が密集する系など非常に多様であることがわかってきた。惑星検出方法のうち、恒星の前を惑星が通過して影になる現象を観測するトランジット法は、0.1%程度の減光を検出できればよいのでアマチュアでも容易に惑星の検出が可能である。その反面、確率の低い事象を観測する制約から、多数の恒星を同時に見張る必要があり、それが太陽系外惑星発見の黎明期において、当時有力な手法だった視線速度法などと比較して大きな障害となっていた。しかし、2009年3月のケプラー衛星の打ち上げを境に、状況は大きく好転した。ケプラー衛星は主鏡の口径が1.4 mであり、地球や太陽が観測に及ぼす影響を避けるために、太陽を中心として地球の後を追いかける太陽周回軌道に投入されている。観測領域ははくちょう座のごく狭い一角で、一度に10万個の恒星を観測することができる。これにより惑星発見数は1005個と全体の半数を占めるまでに至った。私は、ケプラー衛星の時系列測光観測データの中に、未確認の木星サイズの惑星候補天体によるものと考えられる減光(single transit) があることを発見した。そこで、ケプラーチームが真贋問わず惑星候補を1 個以上持っていると認定したKepler Objects of Interest (KOI) に載っている天体7557個全ての天体のライトカーブに対し視覚的探索を行ったところ、合計28個のsingle transiting events (STEs) が存在することを確認した。通常、トランジットが1回しか観測できない場合は公転周期を求めることは困難である。私は、既知惑星が1 個以上ある場合には、それらのパラメータを用いることで未知惑星の公転周期を推定可能であることを理論的に示した。次に、全ての惑星が既知の多重惑星系のうち、STE と同程度の継続時間と深さのトランジットを起こす惑星を含む系について、敢えて公転周期を未知であると仮定して同時フィットを行い、公転周期推定手法が妥当であることを確認した。既知惑星が1個以上ある場合はSTEとの同時フィットを、既知惑星無しの場合は主星の密度を与えてフィッティングを行った結果、7個が海王星サイズから木星サイズの長周期の惑星であり、周期は数年から20年であると見積もることができた。またSTEと内側の惑星との中間付近の公転周期の惑星が欠乏しているように思われたが、シミュレーションの結果、これは観測バイアスに起因するものであることが判った。さらに、695個の多重惑星系から長周期惑星が5個見つかった事実から、惑星間の相対的な軌道傾斜角が小さいと仮定したときに、3AU以遠のガス惑星は20%以上の確率で存在していることが判った。このように本研究では、これまで未解明であった長周期の系外惑星を少なくとも7個同定し、太陽系と類似した惑星系の形成や構造についての新たな知見を得ることができた。
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(理学)
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