Thesis or Dissertation 層状マンガン酸化物における表面誘起の電荷不均一構造

山村, 諒祐

pp.1 - 51 , 2016-03-25
Description
近年マンガン酸化物は、Li-ion電池の正極材料および人工光合成の触媒として注目を集めている。これらのマンガン酸化物は、主に物質表面の Mn^<4+> が Mn^<3+> へと価数が変化するときに、正極や触媒として機能する。しかし、表面に多数の Mn^<3+> が存在すると、Mn^<3+> は Mn^<2+> と Mn^<4+> に分離し、Mn^<2+> が正極から電解質に溶け出す反応が起こる。これが、Li-ion電池を繰り返し使用した際の容量低下の主要な原因となる。この二つの観点から、正極や触媒としての機能が向上するには、生成された Mn^<3+> が表面に留まらずに速やかに物質内部へ向かい、表面には常に Mn^<4+> が多く現れる状況が望ましいが、その状況が現れる機構は明らかになっていない。この問題の解決の第一歩として、本論文ではまず、マンガン酸化物に対する標準模型である軌道縮退二重交換模型に基づいて表面の効果を調べることとした。具体的には、z方向に表面を考え、仮定した 4種類の t_<2g>スピン構造において各層の Mn^<4+> の数の変化を調べることにより、表面とバルクの電荷不均一構造とその発生機構を考察した。その結果、全ての t_<2g> スピン構造において、バルクに比べて表面に Mn^<4+> が多く現れることを見出し、それが表面誘起のフリーデル振動によって理解できることを示した。また、フェルミ面の z方向のネスティングが良いほど現れるフリーデル振動は強くなり、表面の Mn^<4+> の数も増えることを発見した。このことより、バンド幅の広いマンガン酸化物において表面の Mn^<4+> の数を相対的に増やすには、フェルミ面が良いネスティング構造を持っていることが重要であり、そのような物質が正極材料及び触媒として有用である可能性が明らかになった。また、今回仮定した 4つの t_<2g> スピン構造の安定性についても、モンテカルロシミュレーション及び厳密対角化法を用いて議論した。
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(理学)
Full-Text

https://tokyo-metro-u.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2204&item_no=1&attribute_id=18&file_no=1

Number of accesses :  

Other information