学位論文 木造戸建て住宅における外壁改修構法の施工性に関する研究

竹本, 汐里

pp.1 - 85 , 2016-03-25
内容記述
日本の住宅総数は増加傾向にあり、これらの住宅ストックには戸建て住宅が5割以上ある。国土交通省はこの現状を受け、リフォーム市場の活性化に向けた指針の検討を進めている。よって戸建て住宅の長期活用のために住宅の修繕がより重要になると考えられる。外壁は定期的な修繕が必要であり、建物の長寿命化を図る際には外壁の性能の維持・向上がかかせない。外壁修繕は、ひび割れの補修を行うという外壁の初期性能の維持を図るものから、外壁の色や仕上げ材を変えるという外観意匠性を向上するといった初期性能以上の向上を図るものとがある。本研究では性能向上を図ることが今後のストック活用社会では重要と考え、外壁改修に着目する。外壁改修では、既存壁面や既存躯体といった既存部分の状態と構法の特徴が施工性に影響を与えると考える。例えば構法選択時は、既存住宅の築年数や既存壁面の状態により選択可能な構法が制限される。工事前の検討時では既存壁面や開口部周辺への外壁材の取り付け計画が必要であり、施工時は既存壁面の不陸といった既存部分の状態に合わせた施工調整が必要になる。このように構法の特徴と既存部分の状態が、既存住宅の状態を診断する段階、新設外壁の取り付け方を計画する段階、外壁材を取り付ける施工段階において、構法選択の制約や検討部分の範囲、施工の調整といった不都合が生じ、施工性に影響を与えている。本研究では、木造戸建て住宅における外壁改修構法に着目し、外壁改修における施工性、特に改修時の住宅診断の内容、新設外壁を取り付けるための計画、施工時に施工者が行う調整方法を明らかにすることで、今後求められる外壁改修のあり方を提示することを目的とする。本研究は7章により構成されている。第1章では、研究の背景と目的を示すとともに、用語の定義を行う。本研究における施工性とは、既存住宅の状態に合わせて構法が使用可能かどうかという「診断結果の検討内容」、開口部や既存壁面・既存躯体などの住宅の部分に対して、外壁材を実際に施工するために計画するという「新設外壁の取付計画」、住宅の経年により生じる既存壁面のひびや既存躯体の傾きなどの状態に対して、外壁の施工時に行う調整である「施工時の調整方法」の3点である。いずれも、既存住宅の状態から生じる、外壁改修を行う上での不都合を解決するための手法である。第2章では、文献調査や外壁材メーカー等へのヒアリング調査を通して、改修時に使用される外壁材シェアとそれらの特徴、外壁改修に対する施主の要望といった、木造戸建て住宅の外壁改修の現状を把握した。次に、改修時に施工する外壁の構成方法から、外壁改修構法の分類を行った。改修時に施工される外壁の層構成は、既存外壁や既存躯体といった「既存層」、新設する外壁の主に外観意匠性の働きをする「仕上げ層」、既存層に仕上げ層を取り付ける働きをする「下地層」に分けられる。さらに外壁改修の手順を整理した。手順は、既存住宅の状態を確認して改修構法の適用が可能かどうかを判断する「診断段階」、改修時に取り付けられる新設外壁の取り付け方を計画する「検討段階」、施工者が既存住宅に対して改修工事を行う「施工段階」にわかれる。第3章では、外壁材の施工要領書等の記述内容から、外壁改修時に診断を行う住宅の部分とその内容をもとに、診断結果への検討内容を整理した。さらに、各改修構法においてそれらの検討内容が生じることを示し、住宅の状態と構法の関係によって「診断段階」において外壁改修を行う上での不都合があることを示した。第4章では、施工要領書等の記述内容から、改修前に外壁材の取付方法を考慮する部分とその計画について整理した。さらに各改修構法において、それらの取付計画が生じることを示し、「検討段階」において開口部や既存壁面といった住宅の部分と構法の特徴により、不都合が生じることを示した。第5章では、外壁改修現場観察や施工者のヒアリング調査から、施工者が施工時に調整を行う部分と内容を把握した。それらを分析することで、各改修構法において生じうる調整内容を明らかにした。さらに、「施工段階」において既存壁面の不陸や建物の傾きといった住宅の状態と構法の特徴により、外壁の仕上がりに関する不都合が生じていることを明らかにした。第6章では、前章までで明らかにした外壁改修の手順に対して、生じる不都合を当てはめ、現状では各段階で不都合に対応していると問題を指摘した。特に、「施工段階」で生じる不都合は外壁の仕上がりや性能に影響を与える可能性があると考えられる。そこで、「施工段階」で生じる不都合の軽減に着目した改修手順を示した。第7章は本研究のまとめであり、各章の総括を行うとともに、今後の研究課題について述べている。以上、本研究では木造戸建て住宅における外壁改修構法の施工性に着目することで、各手順において既存部分の状態から生じる不都合に対する解決策を念頭に置くべきとし、不都合の軽減に着目した施工性に優る改修手順を提示した。
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(工学)
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