学位論文 モンテカルロシミュレーションを用いたPET/CT における散乱フラクションの推定

細川, 翔太

pp.1 - 52 , 2016-03-25
内容記述
Positron Emission Tomography(PET)の画質は、撮像条件や体格により画質が大きく異なる。画質評価指標である雑音等価計数率(Noise Equivalent Count Rate:NECR)を撮像対象の体積で除したNoise Equivalent Count Density(NEC_<density>)が一定となるように撮像時間を調節することで体格に依存しない一定の画質を得られるとの報告がされているが、Body Mass Index(BMI)が高い被写体では撮像時間の最適化による画質改善効果が不十分であり、視覚的評価結果と乖離が生じている。この原因の1つとして、NECRを算出するために必要な散乱フラクション(全同時計数における散乱同時計数の割合)を体型の異なる全ての被写体に対して一定の値(固定値)を使用していることが挙げられる。これは、PET装置で使用されるシンチレータのエネルギー分解能に制限があるため、被写体ごとの散乱フラクションを実測することは困難であり、画質評価の精度を制限している因子となっている。そこで、本研究はモンテカルロシミュレーションを用いて被写体ごとの散乱フラクションを推定することを目的として以下の検討を行った。まず初めに、シミュレーション下において実機同様のPET 装置を模擬して、その体系の妥当性の検証を行った。検証では、実測およびシミュレーションで得られたサイノグラムを画像再構成して、得られたPET 画像を比較した。次に、従来法であるNEMA 規格の散乱体ファントムから得られたサイノグラムの内挿より散乱成分を推定する方法(内挿法)と提案法であるシミュレーションの計算過程より散乱成分を推定する方法(直接法)の比較を行った。最後に、人体模擬ファントム(CTU-41、京都科学)の散乱フラクションを求めて従来の固定値と比較検討した。シミュレーションおよび実機より得られたPET 画像において、ホット球の最大値を示すピクセルの位置およびバックグラウンド対ホット球のカウント比が良好に一致し、本研究で作成したシミュレーション体系の妥当性を確認した。内挿法と直接法を用いた20 cmφの散乱体ファントムにおける散乱フラクションは実測値と同等の値となり、また、10~50 cmφの散乱体ファントム場合においても両者の算出法によって得られた結果に有意な差(最大誤差2.3 %)は確認されず、提案法である直接法の妥当性を確認した。直接法により推定した人体模擬ファントムにおける散乱フラクションの検討では、撮像領域の違いにより変動があり(最大13.3 %の差)、その平均散乱フラクションは20 cmφ散乱体ファントムの値よりも5.7 %低値を示した。そのため、従来法である散乱体ファントムの散乱フラクションを用いて算出した臨床画像のNEC_<density> は過小評価している可能性が示唆された。本研究で構築した計算体系は、CT 画像およびPET 画像の情報を使用して計算することが可能であり、体格の異なる被写体ごとの散乱フラクションの推定が可能であることを示した。これにより、本研究は、PET 臨床画像の画質評価指標に用いられるNEC_<density> の算出精度の向上に寄与すると考えられる。
首都大学東京, 2016-03-25, 修士(放射線学)
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