学位論文 堆積土壌中の²¹⁰Pb年代測定の検討

澤田, 歩海

pp.1 - 63 , 2015-03-25
内容記述
世界には426基の原子力発電所が運転されており,3.11後でも原子力発電開発は拡大をしている.それに加えて建設,計画中を併せると181基あり,そのうちの約6割がアジアで建設および計画をされている.我が国日本では1954年以降原子力発電所が建設され17カ所50基が2011年の東日本大震災を受け運転停止になるまで、操業を行ってきた.同じアジア圏であり隣の国である韓国では4カ所23基,同様に台湾では4カ所6基の原子力発電所が操業を行っている.それぞれの国で原子力を用い発電をする際に排出される低レベル放射性廃棄物は日本では青森県六ヶ所村,韓国では慶州市月城の最終処分場に台誇では蘭嶼島にある中間処理場で保管をされている.その中で台湾の蘭嶼島は東シナ海に浮かぶ孤島であり強い海風にさらされている.放射性廃棄物が入っている鉄製のドラム缶の腐食が発見され2005年から2011年に渡りドラム缶の処理を行っており,その処理作業により放射性物質が飛散し,拡散した可能性があげられる.しかし,最終処分場や中間処理場については国家機密もあり,この処理作業含め,公開されていない事柄も多いのが現状である.本研究では日本,台湾,韓国の低レベル廃棄物処分場および貯蔵場の歴史的背景や立地,操業形態の調査を行い,台湾の事故を受け,処理場・処分場の付近の環境モニタリングを行う上でその事象が「いつ」起きたかということに視点を置き,おおよその年代がわかるような手法の検討を行った.検討の結果,土壌中²¹⁰Pbによる年代測定法から推定が可能と判断した.その際,空気中の²²²Rnの影響およびバックグラウンドの変動の低減化が重要な基礎検討の一つである.従来法では検出器槽内の空気の置換を行うために窒素ガスが用いられていた.しかし,アスピレータ一三方活栓一活性炭一シリカゲルの組み合わせを用いることで窒素ガス同様の効果が得られることを確認した.²¹⁰Pb年代測定法を適用している堆積土壌は,過去の報告では,0.64~1.01[year cm⁻¹]の堆積速度である.河口や湾内で堆積土壌の採取が行われており,河川から土壌の流入が多い結果,堆積速度が大きいと考えられる.今回の測定では福島では6.89[year cm⁻¹]であり,台湾蘭嶼島大天池では7.38[year cm⁻¹]となった.福島の沼も,蘭嶼島大天池も河川が流入していないため土壌の流入が少ないといえる.よって,川が流入していない湖沼ならば,福島も台湾蘭嶼島大天池でもほぼ同様の堆積速度になると考えられる.今回,試料調整の際に1cmごとに裁断を行ったため,6~7年分が含まれることとなり,もし1年ごとの情報を得るためには0.15cm毎に裁断しなければならない.その厚みで裁断するならば土壌重量の絶対量が非常に少なくなる.その結果,測定値の標準偏差が大きくなり,データとして信頼できなくなる可能性がある.
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