Thesis or Dissertation 転写活性化因子と抑制因子によるクロマチン構造の拮抗的な制御がmRNAの転写開始点を決定する

浅田, 隆大

pp.1 - 52 , 2015-03-25
Description
fbp1転写制御に関わる転写活性化因子であるAtf1, Php5, Rst2の欠損株やこれらとTup11/12の三重欠損株を作製し解析した。3つの転写活性化因子の欠損株では、いずれもfbp1転写ができなくなっていたが、非コードRNAの転写状況について異なる表現型を示した。また、Tup11/12との三重欠損株にするとfbp1転写不良が回復しており、Tup11/12による異なる3種の抑制メカニズムをAtf1, Php5, Rst2が解消するという拮抗的な制御が存在することが示唆された。さらに、これら欠損株を用いてクロマチン構造変化や転写装置の結合を解析したところ、次に示す3種のTup11/12の抑制メカニズムを各々の転写活性化因子が解消することが明らかとなった。(1) fbp1上流の転写因子結合部位でのクロマチン構造変化の抑制をAtf1が解消、(2) fbp1 mRNA転写開始点付近の開いたクロマチン構造構築の抑制をPhp5が解消、(3)転写装置の結合安定化の抑制をRst2が解消する。先行研究によりTup11/12欠損株ではグルコース飢餓以外のストレスでもfbp1転写が活性化してしまうことがわかっており[2]、このようなTup11/12を中心としたクロマチンを介した段階的な拮抗制御は、遺伝子発現の特異性を与えるメカニズムであることが示唆された。また、php5欠損株でのfbp1活性化不良はTup11/12をともに欠損させることで回復するが、fbp1 mRNAの転写開始点が定まらず野生型に比べて著しく不正確になっていた。php5ΔtupΔΔ株では転写開始点付近のクロマチンの開きが野生型に比べて不良になっていたことから、Php5とTup11/12による転写開始点付近のクロマチンの精密制御が正確な転写開始点の決定に必要であると考えられる。ここまでの研究から、Tup11/12の多段階的抑制機構とその解除機構や、転写開始点での精密クロマチン制御機構に関する新しい知見を明らかにすることが出来た[6]。Tup11/12は転写活性化時にその結合量が大きく増大することから、単純なglobal corepressorではないと考えている。そこで、Tup11/12による転写制御の分子機構を究明することを次の課題とした。Tup11/12やAtf1, Php5, Rst2のグルコース飢餓時のfbp1遺伝子上流領域での結合分布を調べると、興味深いことにすべての因子が2つのピーク(既知のAtf1結合配列とRst2結合配列)を持った分布をしていることが明らかとなった。さらに、Rst2とPhp5はその欠損により相互の分布に影響を及ぼすことが明らかとなった。これらの結果から、この領域で高次の染色体構造が形成されていることが想定された。実際に3C解析によりこの構造がグルコース飢餓時に形成されていることが明らかとなった。
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