学位論文 すざく搭載X線CCDカメラXISによるLockman Hole周辺の宇宙X線背景放射の解析

檜山, 祐一

pp.1 - 65 , 2015-03-25
内容記述
1962年、Giacconiらはロケット実験を行い、太陽系外のX線源ScorpiusX-1を発見した。さらに、それと同時に、空全体がX線で一様に光っていることを突き止めた。この宇宙空間をあらゆる方向に飛び交うX線は、宇宙X線背景放射(Cosmic X-ray Background;CXB)とよばれ、発見以後50年以上、研究が続けられている。1974年には、SchwartzとGurskyらの研究から、CXBの起源が問題になった。これは、宇宙空間のX線強度と全銀河の表面輝度を足し合わせた値が、大きく食い違ったためである。その後、ROSAT衛星やChandra衛星の観測により、CXBのほとんどの起源が、遠方の活動銀河核(Active Galactic Nuclei;AGN)を主とする暗いX線源の重ね合わせであると判明した。しかし、CXBは検出器起源の非X線バックグラウンド(Non X-ray Background;NXB)に埋もれやすいため、全強度に10-20%が不定性がある。つまり、CXBの起源の10-20%は、AGNの重ね合わせで説明できるか判明していないと言える。2005年に打ち上げられた日本のX線天文衛星「すざく」には、X線CCDカメラ(X-ray Imaging Spectrometer;XIS)が搭載されている。「すざく」のXISの特徴のひとつに、NXBを高い精度で見積もれる点が挙げられる。これは、「すざく」衛星が約570kmの低い高度を周回しており、NXBが安定していることが主な要因である。以上より、「すざく」のXISはCXBの解析に適した観測器と言える。Lockman Holeは周辺にX線で明るい天体の少ないCXBの解析に適した領域である。本研究では、「すざく」が2005-2010年にLockman Hole周辺を観測したXISデータのうち、観測時間が20000sをこえるものを解析データとした。データセットは各年1観測ずつの計6セットである。また、解析データのイベントのうち、(1)ASCA Grade が0,2,3,4,6であること、(2)「すざく」がSAA通過中もしくはその直後でないこと、(3)「すざく」が姿勢制御中でないこと、(4)「すざく」とターゲットの間に地球が存在しないこと、イベントステータスが524288より小さいことの5つの条件を満たすイベントを、CXBイベントとした。さらに、エディットモードが3×3以外のイベントファイルは、3×3に変換し、観測時間帯とセンサーが同じイベントファイルと結合した。このCXBデータをもとに作成した0.5-5.0keVのCXBスペクトルを、pegwrlw+apec1+apec2モデルで再現し、適合性を検証した。その結果、「あすか」のCXBの全天観測を行った際のphoton index Γ=1.412(Kushino et.al.,2002)と非常に近いphoton index Γ=1.410 が得られた。また、2005年を除く2006年以降のCXB強度はほとんど変動していないことがわかった。以上から、Lockman Hole領域について、「すざく」衛星による質の良いCXBスペクトルを得ることができた。
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