紀要論文 ライティングにみられる定型的言語表現とL2能力との関連性
The Relationship between the Use of Formulaic Expressions and L2 Writing Assessment

奥脇, 奈津美  ,  OKUWAKI, Natsumi

(81)  , pp.71 - 83 , 2015-03-20
ISSN:0286-3774
NII書誌ID(NCID):AN00149431
内容記述
 定型的言語表現(FS: formulaic sequences)が言語に広くみられることはコーパス研究を通じて明らかにされてきたが、第二言語(L2)使用者にとって、上級レベルに至ってもそれを使いこなすことが容易でないことは、多くの研究で指摘されている。本稿は、イディオム、コロケーション、慣用句、比喩のような、パターン化し、ひとつのまとまり(チャンク)としてメンタルレキシコンに蓄えられているとされるFS に焦点をあて、L2学習者のライティングにおける定型的言語(FL: formulaic language)使用について調査したものである。これまでの研究で、FS に関する知識や使用は、L2熟達度やスピーキング力と関連することが明らかになっている。特に、L2スピーキングにおける流暢性の向上は、使用されるFS のタイプの幅や使用数自体の増加と関わることが指摘されている。しかし、L2ライティングとFS 使用の関係については十分な研究がなされているとはいえず、また、ライティング評価との関連については、言語指導のためにもその詳細を明らかにする必要がある。本研究では、71名の英語学習者からL2ライティングのデータ(英文エッセイ)を収集し、FS の使用頻度やタイプについて詳細に調査し、それらとL2熟達度およびライティング評価との関連について検証した。その結果、FS 使用とL2熟達度、ライティング評価との間に、先行研究で示された強い相関はみられなかった。しかし、記述データでは、L2能力の発達に伴ってFS の使用頻度が次第に高くなることが示された。このことから、本研究の結果は、先行研究と一致しないのではなく、むしろ、FS の使用頻度とL2熟達度に明らかな相関が現れるのが、L2能力が一定レベルに達した後のことであろうことを示すものであるとされた。つまり、学習者が十分にFS を使用できるようになるためには、一定のL2能力の発達が前提になるであろうということである。
 There have been increasing studies on the acquisition and use of FS (formulaicsequences), but only a little has been known about the details of FS used in L2 writing. In thisarticle, I present the study investigating the relationship between the knowledge of FS and L2writing. The present study examined 142 short essays written in English by 71 L1-Japanesespeakers learning English. I used 8 types of FSs proposed in Ohlrogge (2009) and investigated the quantity of FS of different types used in writing. The results show norelationship between the use of FS and essay quality and L2 proficiency, but this was taken tosuggest that L2 proficiency of learners may have to have reached a certain stage before acorrelation with the knowledge of FS is observed. I suggest that learners need to developtheir L2 knowledge enough before they are able to use FS successfully.
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http://trail.tsuru.ac.jp/dspace/bitstream/trair/700/1/Y-081071.pdf

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