Departmental Bulletin Paper 錬金術と大気現象
Alchemy and Atmospheric Phenomena

岡田, 典之

37 ( 2 )  , pp.67 - 85 , 2016-03-16 , 龍谷大学龍谷紀要編集会
ISSN:02890917
NCID:AN00338616
Description
錬金術といえば、実験室内で錬金作業に没頭する錬金術師の姿が思い浮かぶかもしれないが、錬金術にとって関心の対象となるのは金属だけではなく、またその活動も屋内に限られたものではなかった。本稿では医師兼錬金術師であったロバート・フラッドや、実践的な錬金術師であると同時に理論家としても活動したトマス・ヴォーンなどの著作に見られる、気象現象への関心を考察する。フラッドは、気象計という単純な機器による観察と聖書とに基づいて風や雲に生気論的な説明を与え、当時一般的に受け入れられていたアリストテレスの気象理論を痛烈に批判した。フラッドはまた、太陽光と熱にも宗教的、魔術的な意味を見出したが、トマス・ヴォーンも同様に、太陽光や熱を生命と結びつけて重視した。ヴォーンはまた、露のようなありふれた現象にも宇宙的な意味を読み込もうとしている。このように、錬金術とは、生気論的な立場から自然全体を統一的に理解しようとする試みであったと考えることができる。さらには、気象現象のような日常的な自然現象に宇宙的な、また神学的な意味を読み取り、単純な実験や観察に神の業を見ようとする態度にも錬金術の重要な特徴が表れていると言えよう。
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