紀要論文 家庭教育の階層差に対する教師のまなざし

伊佐, 夏実

(2)  , pp.1 - 20 , 2015-03-15 , 龍谷大学教職センター
ISSN:21884374
内容記述
本稿では,子育てに対する中学校教師の語り,とりわけ低階層の親に向けられる批判的まなざしを紹介した上で,社会階層間における子育て実践の差異の実態について,保護者調査のデータを用いて実証的に検討した。分析の結果,学歴志向の高さや子どもに対する進路希望の違い,教育費の計画的な貯蓄,受容的でコミュニケーション重視な子育てか否か,学校教育への期待や関与の仕方の違いといった点で階層間の差異が確認でき,それらは,教師によって語られる家庭教育のあり様と,ある程度は,共通したものである。しかしながら,教師が強調するような事実,すなわち,低階層の保護者は,学業や子どもの教育に対する関心がとりたてて低いという結果は得られなかった。教育観の分析において階層差が確認できたのは,「学歴志向」と「人並み志向」のみであり,低階層において「非勉強型」を支持する保護者が多いわけでもなかった。中産階級の文化的拘束性を身に纏った教師の目からみた「不十分な家庭教育」は,「教育する家族」というイデオロギーを通して,低階層の保護者への批判的まなざしを形成することにもつながっている。「教育への関心の低い親」といった,意識の欠如に原因を求める語り方は,子どもに対する親の期待や願いを十分にすくいあげることを阻み,親の関与や献身を排除することにもつながると言えるだろう。
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