Departmental Bulletin Paper 中国地方で採取した苔中の福島第一原発事故由来の放射性セシウム
Radioactive cesium in moss sampled in Chugoku region released by the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

加藤,一生

9pp.9 - 25 , 2017-3-31 , 県立広島大学
ISSN:1883-650X
NCID:AA1242877X
Description
 中国地方の中心部,広島県東北部の標高約300mにある県立広島大学庄原キャンパスの戸外コンクリート床面のハリガネ苔(Bryum capillare) を2012年4月24日から2016年3月11日までの間に7回採取し,含まれていた放射性セシウム(Cs)濃度を測定した。乾燥した苔中の134Cs濃度は2~7Bq/kgであった(2011 年3 月31日に崩壊補正した値。以下同様)。これらの濃度は近傍の枯葉と土壌試料の134Cs濃度の2倍以上であった。6~7Bq/kgという比較的高い134Csの濃度のものは2013年12月,2015年2月そして2016 年3月に採取したハリガネ苔の中に見られた。それらの試料の134Cs/137Cs放射能比は1に近かった。このことは,これらの放射性Csの多くが福島第一原発(FDNPP)事故由来であることを示唆している。庄原キャンパスの他の戸外コンクリート床上のシノブ苔(Thuidiaceae),スナ苔(Racomitrium canescens)ならびにハリガネ苔の134Cs濃度も2Bq/kg以上であった。同じコンクリート床上で2016年3月11日に苔とともに採取した藍藻類のイシクラゲ(Nostoccommune)も134Csを高い濃度,約5Bq/kgで含んでいた。一方,土壌上のスナ苔あるいは腐葉土上のタチ苔(Atrichum undulatum)とシノブ苔の混合ならびにスナ苔の134Cs濃度は約1Bq/kgでありコンクリート上の苔中の濃度よりも低かった。このように,FDNPPからの134Csはコンクリート床上の苔に高い濃度で蓄積されていた。試料採取は山口県東部の高度約20m,瀬戸内海沿岸からの距離約640mの丘の住宅地でも行った。2013年12月,庭土上のハイ苔(Hypnaceae)では137Csと134Csの濃度はいずれも約1Bq/kgであった。このハイ苔の放射性CsにはFDNPP事故由来のものが少なからず含まれていた可能性がある。2015年2月に庭土上で採取したギン苔(Bryum argenteum)中の137Cs濃度は約0.7 Bq/kgであり,2016年5月に採取した戸外コンクリート床とコンクリート溝蓋上のハリガネ苔中の137Cs濃度は3Bq/kg以上だった。しかし,いずれの134Cs濃度も低く,これらの苔に含まれる137Csの多くはFDNPP事故由来ではないと考えられる。以上の中国地方2か所で採取した苔中の放射性Cs濃度の測定結果は,放射性Csが苔に蓄積され,さらにその蓄積がその下の多孔質のコンクリート材によって促進される可能性が高いことを強く示唆していた。
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http://harp.lib.hiroshima-u.ac.jp/pu-hiroshima/file/12469/20170421150838/seikan0909.pdf

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